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トランプ大統領の「VIP」治療、有害無益の恐れ-効果の証明なし

  • 著名な患者の担当医師には積極的に新薬試すプレッシャーも
  • 一度に複数の新型コロナ療法を受ける効果に明確な証拠なし

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トランプ米大統領は新型コロナウイルスと戦うために利用可能なほぼ全ての治療薬の投与を受けているが、有益ではないかもしれない。

  これは「VIP症候群」と呼ばれる状況だ。裕福で著名な患者は最先端の治療法に容易にアクセスできるケースが多く、こうした患者の担当医師には世間からの圧力が強まる可能性もあり、鳴り物入りの新薬や新たな治療法を試すインセンティブを高める。

  魅力はあるが効果が証明されていない治療法を積極的に受け入れるやり方は、医師が一般的な治療を考慮しないことにつながれば、もろ刃の剣になりかねない。病気は患者の名声や政治力とは関係がない。実験的治療はあまり多くの時間や研究が費やされていないことが多いが、それでも利用可能なあらゆる策を講じたいという誘惑は強い。

Trump Departs White House For Walter Reed Medical Center After COVID-19 Diagnosis

入院のためホワイトハウスを出発するトランプ大統領(10月2日)

  ニューヨーク大学グロスマン医学部の医学倫理ディレクター、アート・カプラン氏は、「大統領は異なった扱いを受ける」と述べ、 「医師はより積極的になり、できる限りのことをする。大統領の死亡で非難されたくないからだ」と指摘した。

  トランプ氏は診断を受けて以来、実験的な医薬品を組み合わせて投与されているが、そのほとんどがまだ個別に承認されておらず、複合療法としては広範な試験は実施されていない。ホワイトハウスによると、トランプ氏は亜鉛やメラトニン、制酸剤ペプシドなどの市販薬も服用しているという。

  最初にトランプ氏に行われた治療法の1つはリジェネロン・ファーマシューティカルズの抗体カクテル療法で、これまでに使われたのは数百人にとどまる。初期段階の試験で有望なことが示されているが、その安全性や、トランプ氏に投与されているギリアド・サイエンシズのレムデシビルと組み合わせた治療の有効性については証拠はない。

  主治医のショーン・コンリー氏は、「われわれはトランプ氏の治療のすべての側面を最大限活かし、多面的なアプローチでこのウイルスと戦っている」と述べ、治療の価値を高め大統領の職務復帰を早める可能性があるどんな方法も見逃さない考えを示した。

原題:Trump’s V.I.P. Medical Care Could Do More Harm Than Good(抜粋)

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