東証売買停止、システム開発の富士通に視線-バックアップ効かず
古川有希、Vlad Savov-
サーバーの一つに故障が発生、切り替え正常にできず
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東証社長、富士通への損害賠償「現時点で考えていない」
東京証券取引所がシステム障害により、1日の株式全銘柄の売買を終日停止した問題で、富士通と東証が共同開発した株式売買システム「arrowhead(アローヘッド)」に視線が注がれている。
東証を傘下に持つ日本取引所(JPX)の横山隆介・最高情報責任者(CIO)は原因について、約350台のサーバーの一つに故障が発生し、バックアップシステムへの切り替えも正常に行われなかったと説明した。富士通には早期に解析を進めるよう依頼しているという。
東証の宮原幸一郎社長は、終日の取引停止という事態に至ったことについて、「責任の所在は、市場運営者としてわれわれに全面的にある」と述べた。富士通への損害賠償は現時点で考えていないという。JPXではハードウエアを交換してシステムを再稼働し、2日から正常な売買ができるよう準備するとしている。
富士通の広報担当、田中健雄氏は同社が納入したハードウエアで障害が起きたことについて、「関係者にご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げる」とした上で、「東証と連携して再発防止に努める」とコメントした。
アローヘッドは2010年から運用を開始し、19年11月にシステムを全面刷新した。富士通のサーバーで構成され、情報配信時間の短縮など処理能力が高く、障害発生時にも瞬時でサーバーの切り替えができるという。11年の東日本大震災でも、取り引きは中断されなかった。
15年にシステムを刷新した際には、「Never Stop!(絶対に止まらない)」を旗印に、東証のグローバル市場での重要性を踏まえ、両社が緊密に連携して、より信頼性の高い運用に努めてきた。
加藤勝信官房長官は1日、取引所は経済活動にとって重要なインフラの一つであるとして、「取引の機会が制限されることであって、大変遺憾だ」と話し、早期の対応を強く求めた。現時点では、サイバー攻撃の可能性は確認していないという。

終日売買が停止した東証
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg