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国際金融都市の実現に冷や水、東証停止に海外も失望

更新日時
  • 「目隠しされた状態」と第一生命経済研の熊野氏
  • 菅政権は香港に代わる国際金融拠点の設立目指す

東京証券取引所の売買停止問題は、菅義偉政権が目指す国際金融都市の実現にも逆風になりそうだ。海外からも失望の声が出ている。

  加藤勝信官房長官は1日午後の会見で、市場の重要なインフラである取引所で終日売買が行えなくなったことは「投資家の取引機会の制限につながることであり、大変遺憾だ」と話した。金融庁が原因究明と再発防止に「しっかりとした検証」を行うべきだとの考えも示した。

  菅政権は、中国からの統制が強まる香港に代わるアジアの国際金融拠点の設立を目指している。菅首相は、就任直前のインタビューで「実現したい」と強調。財務副大臣には、元JPモルガン証券副社長の中西健治参院議員を起用した。

  第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、世界情勢が時々刻々と変化する中で市場がシステム障害によってダウンしてしまうと「目隠しをされたような状態になってしまう」と指摘。「アジアの金融センターとしての地位を築こうとしているタイミングで、冷や水を浴びせられた形だ」と話した。 

Japan's New Prime Minister Yoshihide Suga News Conference

菅義偉首相

Photographer: Carl Court/Getty Images/Bloomberg

  シンガポールのグローバルCIOオフィスの最高経営責任者、ゲーリー・ デュガン氏は、「機関投資家は取引の継続性に時折問題が生じる市場に流動性を供給するのをためらうようになるだろう」と指摘。損失の補填(ほてん)を「取引所が機関投資家から請求される可能性がある」と話した。

  自民党は、日本に拠点を移す金融事業者や人材を対象に法人・所得・相続税の負担軽減を求める政府への提言をまとめ、9月30日に菅首相に手渡したばかりだった。

  提言をまとめた片山さつき参院議員は、今回の停止を「非常に残念でショックを受けている」と話した。国際金融都市への影響は「ないとは言えない」とした上で、「国家として、与党としてやっているから、必ず巻き返しを図りたい。安心して来て頂けるメッセージを早急に出したい」と述べた。

日本の資質に疑問符

  菅首相は就任前のインタビューでは、国際金融都市は東京にこだわらず、他の都市も検討する姿勢を見せていた。

  みずほ総合研究所の⻑⾕川克之チーフエコノミストは、東証に機能が集中しているリスクも露呈したため、大地震や自然災害を考慮した複数の金融市場機能を持つことも必要だとの見方を示した。 

  東証は2日から取引をしたい考えだ。だが、そもそも日本が国際金融都市になるための資質に疑問を呈する声もある。    

  モーニングスターのアナリスト、マイケル・マクダッド氏は、日本が直面しているのは「税金や東京が官僚主義的でグローバルビジネスに必ずしも適していないという評判」など今回の売買停止よりも「もっと大きな問題」だと指摘した。

(加藤官房長官や識者コメントを追加しました)
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