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今夜はビールで乾杯、酒税変更で需要回復に期待感-家飲みが定着

  • 350ミリ缶でビールは7円減税、第三のビールは約10円増税に
  • チューハイなどRTDは据え置き、今後はブランド統合の可能性も

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ビール類の税率が1日から変更された。350ミリリットル缶換算でビールの酒税が7円安くなる半面、第三のビールは約10円高くなる。新型コロナウイルスの感染防止で家飲みが定着化する中、業界やアナリストの間では消費者のビール回帰につながるとの期待感が出ている。

  酒税改正は2026年まで段階的に行われる。今回の変更が第一歩となり、23年以降は発泡酒と第三のビールを統合し、最終的にはビールを含め「発泡性酒類」として税率が一本化される予定だ。

  キリンホールディングスの推計によると、8月のビール類の国内消費は前年同月に比べ13%減少した。コロナ禍で外食する機会が減り、飲食店の依存度が高い業務用ビールの売り上げが大きく落ち込んだ。対照的に、家飲み需要の増加を受けて第三のビールは5%伸びており、今回の税率変更が売価に反映されれば、勢力図に変化が生じる可能性がある。

10月以降の税額変化(350ml缶当たり)
ビール70円(7円減)
発泡酒47円(変化なし)
第三のビール37.8円(9.8円増)
RTD(缶チューハイなど)28円(変化なし)

出所:ビール酒造組合の資料を基に作成 

  アサヒグループホールディングスやキリンHDなど大手メーカーは、税率変更に合わせ該当酒類の生産者価格を1日から改定することを決めている。野村証券の藤原悟史アナリストは、売価に反映するかどうかは最終的にスーパーなど販売店の判断になると予想。缶チューハイなどそのまますぐに飲めるアルコール飲料(RTD)の税率が据え置かれた点にも触れ、一定の消費者需要が「第三のビールからRTDとビールに流れる」可能性を指摘した。

  「よなよなエール」など単価が1缶200円を超えるクラフトビールを製造・販売するヤッホーブルーイング広報担当の渡部翔一氏は、「ビールを造るわれわれとして酒税が下がっていくことは歓迎する」とし、酒税改正が「ビール業界全体に追い風になると考えている」と述べた。

  国内スーパー最大手のイオンの広報担当者は、税率変更の対象となる酒類によって適時価格対応を行っていくと言う。同社は既にプライベート・ブランド(PB)の第三のビールの価格を据え置くと発表。さらに6日からは、同社PBの新製品として350ミリ缶で150円(税抜き)のビールを販売する。

Bic Camera Akihabara Store Grand Opening

ビールと第三のビールの間で需要変化は起こるのか

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  キリンHDも6日から、「一番搾り」ブランドの新商品として国内初の糖質ゼロビールを売り出す。ビールの売上高比率が高いアサヒGHでは、10ー12月の累計で「スーパードライ」缶の販売数量を前年同期に比べ約10%伸ばすことを目指している。

  UBS証券の川崎さつきアナリストは、「23年に発泡酒と第三のビールの税率差がなくなるところで、ブランドの統廃合が進む可能性がある」と分析。26年に酒税が一本化されるタイミングでは、「発泡酒・第三のビール固有の機能性など付加価値を創出していく必要はあるだろう」との見方を示した。

  一方、ビール復権の可能性について慎重な声も上がっている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の角山智信アナリストは、「新型コロナの影響の方が大きく、消費者の需要に変化が起きている。カテゴリーのシフトは限定的」との認識だ。12月の忘年会シーズンは悪影響を受ける可能性が高く、「ビール回帰にはなかなか到達しない」とみている。

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