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日銀短観、大企業製造業の景況感11期ぶり改善-回復ペースは緩慢

更新日時
  • 製造業はマイナス27、前回調査から7ポイント改善
  • 改善でも回復ペースは緩慢との指摘が業種問わず聞かれた-日銀
Bank of Japan Headquarters Ahead of Rate Decisions
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
Bank of Japan Headquarters Ahead of Rate Decisions
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

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日本銀行による企業短期経済観測調査(短観)の9月調査で、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はマイナス27と、新型コロナウイルス感染症の影響で大幅に悪化した前回6月調査から7ポイント改善した。改善は2017年12月以来、11期ぶり。ただ、新型コロナの影響を巡る先行き不透明感などから水準は依然として低く、企業の慎重姿勢は続いている。

  大企業・製造業では16業種のうち11業種で改善。世界的な経済活動の再開で輸出や生産が持ち直しつつある中、電気機械や自動車などで景況感が上向いた。同・非製造業は業況判断DIはマイナス12と、前回調査から5ポイント上昇。12業種のうち小売りや通信など10業種が改善した。 

Views of Nagoya As Japan’s Current Virus Wave Peaking

名古屋港で輸出の船積みを待つトヨタ車

Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

キーポイント

  • 景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いたDIは大企業・製造業がマイナス27と、前回調査から7ポイント改善ーブルームバーグ調査の予想はマイナス24
  • 非製造業はマイナス12と、5ポイント改善-予想はマイナス9
  • 先行きは製造業がマイナス17、非製造業はマイナス11といずれも改善を見込む
  • 20年度の為替想定は1ドル=107円34銭と前回(107円87銭)から円高方向に設定

9月短観の業況判断DIの詳細はこちらをご覧ください

非製造業は5期ぶり改善

エコノミストの見方

IHSマークイットの田口はるみ主席エコノミスト:

  • 企業の景況感は回復しているのは間違いないが、思ったほどではない。引き続き経済には自粛感が強い上、企業はさまざまな感染症対策にコストがかかっている。コスト面では中小企業ほど影響を受けている
  • 7-9月期に入ったところで感染者数が増えたのも影響があるだろう。GoToトラベルの支えはあったが、やはり夏の消費が盛り上がらなかった
  • 現在感染が落ち着いているため、企業の業績見通しも引き続き回復はするだろうが、海外では感染者が再び増加しているところもあり、日本企業の輸出の戻りも遅くなると思う

明治安田総合研究所の小玉祐一チーフエコノミスト:

  • 新型コロナ感染が欧州や東南アジア中心に再拡大し、業況に影を落とした結果、予想には及ばなかった。ただ、トレンド的にはペントアップ需要の発現、輸出の回復などで輸出企業中心に業況が回復したということだろう
  • 製造業はもともとの水準が低かったため、反動増的に変化幅も大きくなった面もあるだろう。非製造業では小売りや通信が巣ごもり消費で大きく改善している。業種別の濃淡、格差が非常に大きいのが非製造業の特徴
  • コロナによる今後の不確実性は引き続き非常に高い。特に欧州での感染再拡大で封じ込めの難しさを再確認しており、今後の企業マインド、消費マインドは鈍いものにならざるを得ない

三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の宮嵜浩シニアエコノミスト:

  • 業況判断の戻りは鈍く、非製造業で特に顕著。製造業が中国をはじめとした輸出の改善の恩恵を受ける中、非製造業は国内重要の戻りの弱さを反映
  • 業況感改善でも設備投資計画は下方修正で過去のパターンを考慮しても弱い。雇用や賃金の維持がまず重大事項で、設備増強などは優先順位が低下しているのではないか
  • 資金繰りは今回の短観の明るい材料。業況が低位でも前回から改善している。政府と日銀の政策がかなり効果を発揮しているということだろう

詳細(日銀の説明)

  • 大企業・製造業では、経済活動再開による輸出・生産・個人消費、国内外の自動車販売の持ち直しなどを指摘する声が聞かれた。一方、回復ペースは緩慢との指摘が業種を問わずあった
  • 大企業・非製造業からは、営業・生産活動の再開を受けた需要の持ち直しを指摘する声
  • 4-6月に大きく落ち込んだ対個人サービス、宿泊・飲食サービスからは、自粛ムードが根強く戻りが弱い、インバウンドの落ち込みを指摘する声。小売りでは巣ごもり需要の反動やテレワーク需要の一巡懸念も
  • 設備投資計画は、9月調査で全規模・全産業ベースでマイナスになるのは10年度のマイナス1.0%以来。20年度計画のマイナス2.7%は、世界金融危機の09年度のマイナス17.3%以来の低い伸び
  • 設備投資、過去の平均や修正パターンと比べて弱めの計画
  • 中小企業・非製造業では、全般的に先行き不透明感を指摘する声が大企業に比べて多かった
  • 回収基準日は9月10日、それまでに約7割が回答
(詳細とエコノミストコメントを追加して更新しました)
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