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三井住友信託など、議決権行使書で集計ミス-デジタル遅れ指摘も

更新日時
  • 三井住友信託は975社、みずほ信託銀行では371社の株主総会で誤集計
  • 米や英では電子手段による議決権行使比率は9割以上だが日本は14%

三井住友信託銀行は24日、受託した株主総会での議決権行使の集計で有効であるにもかかわらず未集計としていた事例が計975社であったと発表した。みずほ信託銀行も同様に371社の株主総会で未集計があったと発表。ともに議案の成否に影響を及ぼす事案はないとしている。

  三井住友信託の発表によると、株主総会の繁忙期には議決権行使書を郵便局から本来の到着日より1日早く郵送される「先付け処理」がされているが、期限内に書面で受領しても、本来の配達日である交付証の日付が期限の翌日であった場合には集計対象外としていた。

General Bank Images As Regulator Inspects Three Largest Lenders

三井住友信託銀行のロゴ

Photographer: Kiyoshi Ota

  今回の問題が発覚したのは、東芝が7月31日に開いた定時株主総会で1.3%分の議決権行使書が無効扱いになったと発表したこと。行使書は提出期限の3日前に郵送されたにもかかわらず行使結果に反映されなかったとして、集計を担った三井住友信託に経緯の調査を依頼した。

  三井住友信託は調査の結果、期限内に受領した行使書は集計結果に算入すべきだったとの見解を表明。同日会見した西田豊専務執行役員は「今回の事態を大変重く受け止めている。より一層ガバナンスの高度化を進めていきたい」と述べた。今後は先付け処理による対応を取りやめ、郵送による議決権行使書は到着した日付を基準に取り扱う。

  みずほ信託も同日、6月から7月に開催された371社の株主総会で、先付け処理により期限内に届いた議決権行使書の一部を集計していなかったと発表。未集計は2万2848通あり、再集計の結果、議案の成否に影響を及ぼす事案はないという。

デジタル化で防げた事案

  UBPインベストメンツのファンドマネジャー、ズヘール・カーン氏は、日本はガバナンス(企業統治)や投資家の規範を定めたスチュワードシップコードに対する意識は高く、デジタル化などで負担が軽減できていれば誤集計は防げたはずとコメント。デジタル化が遅れる背景には、議決権を取り扱う側だけでなく、委託側である企業の保守的な姿勢もあるため、社会全体として意識を変える必要があると述べた。

  三井住友信託が受託している議決権行使の集計業務のうち、郵送による行使比率は20年6月の株主総会開催分で約480万件と全体の83%を占めた。みずほ信託でも8割が郵送による行使だといい、会見した真武伸哉専務は電子化の推進には業界を挙げての取り組みが必要と述べた。

  アセットマネジメントOneの昨年11月の資料によると、機関投資家の電子的な議決権行使率は、17年時点で米国が98%、英国も9割以上となっているのに対し、日本は14.3%だった。

 

(記者会見の内容など全体的に追加して記事を更新します)
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