コンテンツにスキップする

世界中に住む中国人動員しマスク購入-共産党統一戦線に各国で警戒感

  • 名古屋では3日間でボランティアがマスク52万枚買い上げた
  • 「微信」用いたキャンペーンの規模、災害救援活動を超えていた
relates to 世界中に住む中国人動員しマスク購入-共産党統一戦線に各国で警戒感
ILLUSTRATION: MICHELLE KWON FOR BLOOMBERG BUSINESSWEEK
relates to 世界中に住む中国人動員しマスク購入-共産党統一戦線に各国で警戒感
ILLUSTRATION: MICHELLE KWON FOR BLOOMBERG BUSINESSWEEK

1日を始める前に押さえておきたい世界のニュースを毎朝お届け。ブルームバーグのニュースレターへの登録はこちら。

中国での新型コロナウイルスの感染拡大を封じ込めるため湖北省武漢市が1月にロックダウン(都市封鎖) されると、世界5大陸、数十カ国に散らばる中国人組織がマスクなどの個人保護具(PPE)を購入し始めた。共産党中央統一戦線工作部が指揮した前例のない組織動員の始まりだった。大規模な公衆衛生危機に見舞われた中国にPPEを送るためだ。

  中国国営の新華社通信によれば、名古屋では3日間でボランティアがマスク52万枚を薬局で買い上げた。1月26日までにはカナダのトロントにある中国商業会議所のトップが北京から戻り会員に協力を求め、100人近くがPEEを買い込むため、凍った道路を運転してトロントに向かったという。ケニアとイタリアのミラノからの航空機には中国向けPPEが詰まった箱やスーツケースが大量に積み込まれていた。アルゼンチンにある中国在外団体は、要請を受けて1週間以内に約2万5000枚のマスクを送った。

  武漢ロックダウン前夜の1月22日、電子商取引の巨大企業アリババグループは同社のマスク在庫は4610万枚だとソーシャルメディアに投稿。北京と上海の全住民が1枚ずつ買える数にすぎなかった。しかし中国政府の統計によれば、2月末までにはマスク20億枚を含む25億品、82億元(約1300億円)相当が統一戦線主導のキャンペーンにより送り込まれていた。

  中国のメッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」の助けを借りて連係されたキャンペーンの規模とスピード、効果は一般的な災害救援活動を超えていた。1月後半、統一戦線に関係する中華全国帰国華僑聯合会を通じて出された支援の呼び掛けはニューヨークやロサンゼルス、メルボルンなど各地の中国総領事館のウェブサイトに掲載された。大半のPPEは2月半ばまでに送り込まれた。数千の組織とソーシャルメディアグループを動員できることを示す統一戦線の功績だった。米下院情報特別委員会での昨年の証言によれば、動員可能な団体は米国だけでも250を超える。

  統一戦線が単なる人道的組織でないことから、米議会は監視を強めている。 今年6月には共和党議員148人が「悪意的な感化キャンペーン」を理由に統一戦線の幹部に対する制裁を求めた。

  2018年に統一戦線についての報告書を発表した米議会の超党派諮問機関、米中経済・安全保障審査委員会(USCC)のロビン・クリーブランド委員長は、「国外からPPEを集めるための中国政府による在外中国人ネットワークの利用は統一戦線を先陣とした経済・政治・安全保障キャンペーン統合の驚くべき例だ」と指摘した。

  中国共産党の影響力に関する共著のある米ジャーマン・マーシャル財団のマレイケ・オールバーグ上級研究員(ベルリン在勤)は、統一戦線の能力に対する各国政府の警戒が強まっていると分析。「極めて大きな組織的潜在力があり、弱い国民が不利になるように、あるいはあなたの利益に反する形で、使われる可能性がある」と指摘し、「すでにこれに気付き始めている政府もある。各国政府はもっと賢くなる必要がある」と述べた。

原題:China Made an Epic Dash for PPE That Left World Short on Masks(抜粋)

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウイーク」誌に掲載)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE