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採用維持や凍結、学生は志望業種や企業で明暗-コロナ禍の就活戦線

  • 来春の新卒求人倍率は1.53倍に低下、リーマン後の氷河期は上回る
  • 金融業は横ばい、航空やエンタメ業界では採用凍結-「就活浪人」も

 

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新型コロナウイルス禍で進む2021年春の就活戦線。過去の就職氷河期に採用を大幅に絞り、即戦力が不足した教訓から採用を維持する企業がある一方で、凍結に踏み切る動きもある。新卒生は志望業種や企業により、それぞれ対応に苦慮している。

  リクルートによると、来春の新卒求人倍率(6月調査)はコロナの影響で1.53倍(20年春は1.83倍)に低下した。14年以降で最も低いが、1.23倍(12年)まで落ち込んだリーマンショック後の氷河期の水準は上回った。大きな倍率の低下は流通業など一部にとどまる。

  就職みらい研究所(リクルートキャリア)所長の増本全氏は、人数は絞るが採用自体を止める企業は多くないと指摘する。背景には過去の氷河期で採用を中止し、その後の景気回復局面で攻めに転じようとしても、「リーダー層や中間層など次を担っていく世代が全く育っていなかった」との反省があると分析する。

就活浪人も

  みずほフィナンシャルグループは来春510人の新卒採用を予定している(20年春は約550人)。広報担当者はコロナの影響は特になく、「より長期的な経営計画の中で採用人数も策定している」と説明する。リクルートの調査でも金融業の来春の新卒求人倍率は0.28倍と前年比横ばい。19年の0.21倍からは上昇した。

  「誰のせいでもないので仕方ないが、自分にとって新卒採用の機会は1回しかない。志望業界に進めないのは心残りだ」と話すのは同志社大学経済学部4年生の小崎和哉さん。第1志望だったエンターテインメント業界への就職を断念し、急きょ地方銀行など他業種を模索し始めた。

Kazuya Kozaki

同志社大の小崎和哉さん

Photographer: Ayaka Matsui via Bloomberg

  新型コロナの感染拡大に伴う外出自粛要請などの影響を受け、日本航空ANAホールディングス、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)などが来春の新卒採用の中止を決めた。日本では新卒採用が中心のため、こうした企業を第1志望とする学生は戦略の練り直しを迫られる。

  慶応義塾大学で、欧米では主流の9月入学の経済学部に在籍する3年生の大友快さんは、「周りを見ても、新卒でだめだったら就活浪人をする友人もかなりいる」と話す。「日本では新卒入社が普通で、中途採用で企業に入るイメージはない」と言う。

見直し求められる雇用慣行  

  就職みらい研の「就職白書2019」によると、日本では新卒採用が約7割と高く、中途採用は3割(18年春実績)にすぎない。日本の雇用慣行は、就活生に新卒で第1志望を重視する意識を植え付け、自らの選択肢を狭める一因にもなっている。

  みらい研の増本氏は、「欧米では基本的に会社に必要な専門性を持った人材を中途で採用する傾向にある」と言う。日本では時間をかけて社内で人材を育成し、人事異動で最適な仕事を見つける仕組みが中心で、「結果的に新卒採用が非常に多い」との見方を示す。  

  独立行政法人の労働政策研究・研修機構がまとめた「国際労働比較」(19年版)によると、勤続20年を超える社員の割合は日本(17年時点)が22.5%を占める一方、米国(18年時点)は10.3%となっている。

  増本氏は、歴史的に狩猟、農耕、工業、情報社会に続く、仮想と現実の空間を行き来できる新たな社会に突入する中、国際競争に打ち勝つには、「即戦力や高度な能力を持った人材が必要になってくる」と話す。中途採用比率の引き上げなど、雇用慣行の見直しも課題になるとみている。

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