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中国製ワクチンの実験場となったインドネシア-大統領も科興に期待

  • ワクチン接種に伴う副作用などリスク伴う臨床試験に注目集まる
  • 来年1月までの「コロナバック」の認可目指す-ジョコ大統領

インドネシア西ジャワ州の州都バンドンで8月、20人余りのボランティアが新型コロナウイルス感染症(COVID19)ワクチンの臨床試験に参加するため小さな地域の診療所に集まった。

  小さな家々に囲まれた診療所の外では、子どもたちがマスクもせずに遊び回っている。ここで行われるのは中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発したワクチン候補の第3相試験だ。

  インドネシアでは、新型コロナがもたらした大混乱を同社のワクチンで終わらせたいとの期待が大きい。東南アジアでフィリピンに次いで新型コロナの感染者数が多く、8月末以降、1日当たりの新規感染が毎週記録を更新し続けているためだ。

New Covid-19 Cases

Seven-day average

Data: Johns Hopkins University

  新型コロナのパンデミック(世界的大流行)によってさらに490万人が貧困に陥るとインドネシア政府は予想。人口約2億7000万人のこの国ほどワクチンを切望している国は少なく、ワクチン接種に伴う副作用など潜在的なリスクを伴う臨床試験の行方に注目が集まっている。

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ボランティアが検査登録を待つ(バンドンのパジャジャラン大学診療所)

写真家:Dimas Ardian / Bloomberg

  人口が200万人を超えるバンドンでの臨床試験は、国営の製薬会社ビオファルマが実施。バンドンおよび近郊の町からの1620人がシノバックの臨床試験に登録し、その多くが地元メディアの取材を受け、大きく報じられた。

  ビオファルマの企画・事業戦略責任者イイン・スサンティ氏は、ワクチンの広範な配布はインドネシア当局が緊急認可を出した後になると説明。ジョコ大統領はシノバックの「コロナバック(CoronaVac)」を来年1月までにワクチンとしての認可することを目指すと述べている。まず医療従事者が接種を受けるという。

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バンドン市内とマスクを着用したジョコ大統領のポスター

Photographer: Dimas Ardian/Bloomberg

  シノバックは安全手順が守られていると説明。「多くの健康な人々によるワクチン使用が絡むあらゆる臨床試験は、安全問題に対応する計画を持つことになる」と同社の広報担当者は説明した。

  世界保健機関(WHO)の葛西健・西太平洋地域事務局長は先月の記者会見で、「ワクチンが安全と効果で全ての条件を満たしても、ワクチンに全てを賭けるのは良い考えではない。安全かつ効果的なワクチンを開発できたとしても、全世界から来る需要を生産能力が本当に満たすことはないだろう」と述べた。マスクを着用しソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つなど現行の対策を改善させ続けることが重要だと指摘した上で、「ワクチンだけを当てにしてはならない」と呼び掛けた。

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COVID19予防を呼び掛けるポスター(バンドンの診察所近く)

写真家:Dimas Ardian / Bloomberg

原題:Indonesia Became a Testing Ground for a Chinese Virus Vaccine(抜粋)

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)
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