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日産ゴーン事件であす初公判、ケリー元代表らの関与焦点-東京地裁

  • 法人としての日産の審理も開始、ゴーン被告本人はレバノンに逃亡中
  • 「既に敗れたような思い」、ケリー被告側は手続きの不公正さ主張

日産自動車の元会長で、金融商品取引法違反の罪などで起訴されたカルロス・ゴーン被告と共謀して同氏の役員報酬を過少報告したとして、同罪で起訴された日産元代表取締役のグレッグ・ケリー被告(63)と法人としての同社の初公判が15日、東京地裁で開かれる。

Carlos Ghosn Attends A Hearing At Tokyo District Court

ケリー被告らの公判が開かれる東京地裁。昨年1月にはゴーン被告も勾留理由開示で出廷した

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  ケリー被告は一貫して無罪を主張。同被告の家族らは、レバノンに逃亡中のゴーン被告の証言なしでは公正な裁判を受けられないのではないかと懸念を示し、日本の遅々として進まない裁判手続きについても批判してきた。ケリー被告らの初公判は既に数回延期されてきた。公判は来年7月まで続き、判決は来秋まで出ない見通しだ。

  東京地検によると、両被告は2011年3月期のゴーン被告の報酬や賞与などが約17億7700万円であったにもかかわらず、9億8200万円と記載した有価証券報告書を同年6月に関東財務局長に提出。同様に12年3月期から15年3月期の報酬などに関し、約80億7800万円だったのに40億500万円と記載するなど重要事項について虚偽の記載のある有価証券報告書を提出した。

  ゴーン被告はその後、会社法違反(特別背任)の罪でも起訴されている。

  「私は既に敗れたような思いでいる」。15日に64歳の誕生日を迎えるケリー被告はインタビューでこう述べた。「私は62歳になった直後に逮捕され、判決が出る前には65歳になっているだろう」との見通しを示し、「これは私の人権の侵害だ」と主張した。

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都内の自宅マンションでのケリー被告(今年2月)

  日本の法務省はケリー被告は公正な裁判を受けるとしている。また日本の刑事司法制度については先進諸国の制度と遜色ないものだとして、長期間にわたる裁判などに対する批判は当たらないとしてきた。

  ケリー被告本人は来年5月まで尋問に立つことはないが、日産の元同僚などが自分に対して不利な証言をするのを法廷で聞くことになる。ケリー被告の弁護士、家族、少数の米国の政治家が同被告を守るために声を上げ、日本の司法制度を批判してきたのに対し、日本の実業界や外交関係者からは公の場で同被告を擁護する声はあまり聞こえてこない。

  ケリー被告の関係者によると、同被告の多くの友人やビジネス関係の知人がひそかに支援の意向を伝えてきているが、日本で事業を行う雇用主や日本の当局の関係者からの何らかの懲罰や報復への懸念から公の場で擁護することを恐れているという。

憂慮すべき先例に

  ケリー被告を支援するためにインターネット上で署名運動を始めた息子のケビン・ケリー氏は、「経済界からもっと大きな懸念の声が上がっていないことに驚いている」と述べた。同氏は、犯罪には当たらないとしても西川広人元社長ら日産の日本人役員も報酬を不正に受け取っていたにもかかわらず、外国人だけを狙い撃ちにして起訴した検察の判断は憂慮すべき先例になると懸念している。

  在日米国大使館と国務省はプライバシーの問題があるとしてケリー被告の裁判に関するコメントを控えた。国務省の広報担当者は電子メールで「米国の市民が海外で拘束された場合、国務省は適切なあらゆる領事関連の支援を提供する業務を行う」と述べた。

  ロジャー・ウィッカー上院議員(ミシシッピ州選出、共和)はケリー被告の「逮捕と起訴は日本企業とビジネスをする米国人など外国人への警鐘となるだろう」と電子メールでコメント。「一企業のもめ事を解決するための刑事手続きの乱用であることは明らかだ」と述べた。

  ケリー被告は18年11月、検察に協力していた日産の元同僚に嘘の話を前提に来日するよう求められた。同被告は東京に到着後まもなく逮捕され、約1カ月間東京の拘置所に勾留され、その後保釈されていた。

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