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アストラゼネカのワクチン試験中断は脊髄の問題-NIH所長

更新日時
  • 試験の参加者1人に疾患が生じ、安全性データ検証するため試験中断
  • 有害事象は脊髄の炎症を起こす神経障害である横断性脊髄炎と所長

米国立衛生研究所(NIH)のフランシス・コリンズ所長は9日の上院委員会で、英アストラゼネカが新型コロナウイルスワクチンの臨床試験を中断したことについて、「脊髄の問題」が理由だと証言した。

  ワクチン開発で先行しているアストラゼネカとオックスフォード大学は試験の参加者1人に疾患が生じ、安全性データを検証するため試験を中断した。

英アストラゼネカ、コロナワクチン試験中断-原因不明の疾患

  コリンズ所長は上院厚生教育労働年金委員会で、問題となっている有害事象は脊髄の炎症を起こす神経障害である横断性脊髄炎(TM)だと指摘した。アストラゼネカの検証でこの有害事象がワクチンと関連していることが分かれば、既に製造されたワクチンは全て廃棄されるとも語った。

Senate HELP Committee Hearing On Vaccines And Public Safety

上院厚生教育労働年金委員会で証言するコリンズ所長(9月9日)

Photographer: Michael Reynolds/EPA/Bloomberg

  コリンズ所長は「まず安全性を重視しており妥協はしないとわれわれが語るのを聞けば、誰もが安心するはずだ」とした上で、「これは1件の有害事象に基づき、それがワクチンと関係があるかないか分からないが、何か懸念すべき証拠があれば直ちに中断し、確認するという慎重なアプローチの最善策だ」と述べた。

  アストラゼネカのパスカル・ソリオ最高経営責任者(CEO)は9日午前に投資家に対し、英国の女性1人にTMと呼ばれる神経系の疾患が発現し始めたため同社のワクチン試験は全世界で中断されたと説明した。

  アストラゼネカの広報担当者ミシェル・メイセル氏によると、ソリオCEOは今回の症例で最終的な診断は出ていないとした上で、より多くの検査が行われるまで診断は確定しないと述べた。メイセル氏は発表資料で「こうした検査が今後、独立した安全性委員会に提出され、有害事象が検証されて最終診断が下される」とした。

  医療関連ニュースを専門とするSTATの報道によると、女性は回復しつつある。中枢神経系の問題が生じたのは2件目となるが、神経障害の最初の症状は多発性硬化症が原因とみられ、ワクチンとの関連はないと考えられたとSTATは伝えた。

  臨床試験登録ISRCTNに掲載された7月12日付の被験者情報によると、アストラゼネカの英試験で参加者1人がTMの症状を示した。原因は調査中だとされていた。

  メイセル氏は「7月には、被験者1人が未診断の多発性硬化症であることが確認されたことで安全性を検証する間、試験が一時中断した」とした上で、独立した試験監視委員会はこの診断がワクチンと関連がないと結論付けたと説明した。

  アストラゼネカは来週、臨床試験を再開する可能性があると、英紙フィナンシャル・タイムズが事情に詳しい複数の関係者を引用して報じている。

原題:
AstraZeneca Study Halted After Spinal-Cord Issue, NIH Chief SaysAstraZeneca Must Explain Spinal Ailment to Resume Vaccine Trial(抜粋)

(6段落目以降にアストラゼネカ側の説明を追加して更新します)
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