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ウォール街の皆さん、上司があなたを呼んでいる-オフィスへ戻ろう

  • 在宅勤務を続けてきた従業員の多くは今後の行方を知りたがっている
  • 競合他社のバンカーにオフィス復帰で先を越されることへの不安も

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今やバーチャル化したウォール街で管理職も一般の社員も、一体いつリアルのオフィスに呼び戻されるのだろうと心配している。

  新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)でニューヨークなどのオフィスタワーやトレーディングフロアが空っぽになってからほぼ半年。JPモルガン・チェースの幹部は行員をオフィスに呼び戻すことについて協議したと、事情に詳しい関係者が述べた。

  新規に採用されたアナリストらの一部はすでに、オンライン研修の後に出社を求められた。ゴールドマン・サックス・グループも新規採用社員らに、呼ばれたら出社できるようオフィスの近くにとどまるよう求め、ブラックストーン・グループは投資の専門家に復帰を促した。

  レーバーデーの祝日が過ぎた今、在宅勤務を認められていた従業員の多くはこれからどうなるのか知りたがっている。上司が何を望んでいるのかを社内文書から読み取ろうとしている。オフィスの感染防止措置や在宅勤務疲れへの言及は気遣いなのか、あるいはオフィスに戻れという圧力なのか。

Oculus Transit Hub in New York City

ワン・ワールド・トレード・センター駅構内(6月)

写真家:Gary Hershorn / Getty Images

  例えば、ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループのリチャード・ハンドラー最高経営責任者(CEO)とブライアン・フリードマン社長からの最近の連絡には「在宅勤務はもう十分だろう。同僚に会いたいし、バーチャルよりも顔を合わせた方が効率的だ」とある。

  ただ、後になって「誰もオフィスに来るようにという圧力を感じるべきではない」とも付け加えられている。

  実際、ほとんどの銀行が行員にオフィスに来るよう圧力をかけてはいないと言う。しかしここは、案件をまとめボーナスを稼ぎ昇進するための競争と熱狂がまん延するウォール街だ。オフィスに戻りたがらないという印象を与えたくはないし、熱心に志願もしたくない従業員らは公言こそしないものの、これからどうすべきかという問いは誰の心の中にもある。

  まだ外出は不安だし、選べるならワクチンが利用できるようになるまで在宅勤務を続けたいという人もいる。保育の問題もあるし、バスや地下鉄、電車には乗りたくない。米国で18万9000人を超える死者が出ている感染症のリスクに家族をさらしたくはない。

先を越される不安

  一方、家族と家に閉じこもっている状態から逃れたい、あるいは上司に自分を売り込みたいなどの理由でオフィスに戻る意欲のある人もいる。しかしこうした人々は他者を不安にする。

  本部オフィスに出社する人員がどの部門でも全体の10-20%前後になっているゴールドマンの社員の1人は、いっそ全員にいつまでにオフィスに戻れと言ってくれたらいいと思っている。おべっか使いの社員が上司と密着し、出社しない社員のことを臆病だとか怠慢だとか思い込ませるのが心配だからだ。

  また、ゴールドマンのシニアバンカーは、競合他社のバンカーにオフィス復帰で先を越されると、仕事を得る上で自分が不利になるのではないかと心配する。取引プラットフォーム運営会社トレードウェブ・マーケッツのプレジデント、ビリー・ハルト氏は、業界関係者との会話でよくこの心配が出てくると言う。同氏は結局、先週から出社することにした。

New York City Takes First Steps In Reopening Following Months In Lockdown

タイムズスクエア(6月)

写真家:Gabby Jones / Bloomberg

  これはある意味で皮肉なことだ。ゴールドマンやその他の金融機関はここ数年、自分たちはテクノロジー企業だと言い続けてきた。しかし、従業員の間でオフィスに戻らなければならないことへの不安が高まっているという事実は、対面での会議や研修を重視する昔ながらの価値観を浮き彫りにしている。

  ゴールドマンの幹部は徒弟制度的な文化を重視し、社員が一緒に働くことで会社は繁栄できると考えている。デービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)はパンデミック中も出社を続け、この価値観を体現して見せた。

原題:
Dear Wall Street, Your Boss Wants You to Come Back to the Office(抜粋)

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