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大量失業でも米工場経営者は賃上げ-技能ギャップでパラドックス出現

  • 米人材派遣業界が目にしたことのない不合理な労働市場に
  • コロナ禍を契機にロボット活用が加速するとエコノミスト

米経済が上向く中で同国の倉庫や工場の経営者は、新規雇用のために賃上げを余儀なくされる状況になりつつある。

  電子商取引が受注急増を後押しし、米供給管理協会(ISM)発表の8月の製造業総合景況指数は2018年11月以来の高水準に上昇した。このため製造業の経営者らは需要を満たし、操業を持続するため争って雇用拡大を図っている。

  サントラスト・バンクスのエコノミスト、マイク・スコーデレス氏は、「最終的には低所得労働者の賃金が上がる恒久的変革に至るだろう」と指摘。低賃金の仕事では誰もが転居や長距離通勤を望まないため、賃金は上がらざるを得ないと説明した。

  レーバーデーの祝日を含む長い週末前の4日に発表された8月の雇用統計では、失業率が市場予想より低い8.4%となったものの、失業者数はなお高止まりしていることが明らかになった。

  イリノイ州シカゴ近郊でオンライン小売り会社「ギフツ・フォー・ユー」を営むジム・タクラー氏は、新型コロナウイルス禍により人材確保が少なくとも短期的には容易になると見込んでいた。しかし、現在、配送などを助ける人員が足りず、直ちにもう10人を確保する必要がある。

Warehouses Struggle To Find Workers Amid High Unemployment

ジム・タクラー氏

撮影:Olivia Obineme / Bloomberg

  タクラー氏は以前は標準的な時給水準を目指していたが、今年に入って初任給を12ドルから14.25ドルに引き上げ、継続手当も支給することで人材獲得競争に勝とうとしている。

  米人材派遣協会(ASA)のリチャード・ウォルキスト最高経営責任者(CEO)は失業者が多い中で賃上げが生じていることについて、「これは理に合わない」とし、「われわれの業界の誰もが目にしたことのない労働市場だ」と指摘した。

  全米製造業者協会(NAM)のチーフエコノミスト、チャド・モートレイ氏は、新型コロナの感染拡大前と比べ製造業の雇用がなお約72万人少ないにもかかわらず、労働力が不足しているというパラドックスが生じていると説明。求職者が多くても経営が求める資格を有している人が少なく、「技能ギャップ」が必ずしも埋められていないとし、コロナ禍を契機に恐らく、既に進んでいたロボット活用が加速するだろうと分析した。

原題:
Factory Owners Hiking Pay to Lure Workers Even With Jobless Rate(抜粋)

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