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米株式市場を押し上げたオプション取引、「雪崩」起こす危険性

更新日時
  • 大勢の個人投資家がリターン押し上げ狙いオプション取引に殺到
  • ソフトバンクGも大型ハイテク株オプションで含み益-FT報道

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今年1月時点で、多くのチャットルームの住人らは、オプションディーラーを囲い込むことで株式ポートフォリオのリターンを押し上げることができると考えついた

  目新しくはなく、リスクフリーからほど遠いが、オンライン掲示板レディットのフォーラム「r / wallstreetbets」で称賛されたこの戦略は、少なくともかなりシンプルだ。保有株のコールオプション(買う権利)に資金を投じ、売り手がヘッジとして同一の株式を買わざるを得なくなるようにするのが狙いで、その後に続くフィードバックループが全てを押し上げるという論理だ。

  偶然か意図的かは分からないが、このような状況が米国のハイテク株で大規模に起き、激しいラリーに拍車を掛けていたと見受けられ、先週の下落を悪化させる可能性もある。大勢の個人投資家がオプション市場に殺到しており、最近ではソフトバンクグループが大型ハイテク株のオプションを大量購入したと伝えられた。

  英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は6日、ソフトバンクGがここ数カ月に約300億ドル(約3兆1870億円)相当の株式に関連したオプションに投資し、約40億ドルの含み益を得ていると報じた。孫正義社長の指示でこうしたポジションを取ったという。同社の広報担当に取材を試みたが返答は得られていない。

  BTIGの株式・デリバティブ担当チーフストラテジスト、ジュリアン・エマニュエル氏はオプション投資が株式相場のボラティリティ-を高めているとみており、「極めて速いスピードで押し上げられ大きくなった雪だるまがここにきて、雪崩を起こす危険性がある」と指摘する。

Call open interest on Amazon.com surges

  ソフトバンクGの大胆な動きは新聞の見出しを飾ったが、複数のアナリストによると、その影響力は市場の残りの部分に比べると比較的小さいという。より大きな影響力を持つのは小口投資家で、1カ月でコールに400億ドルを支払ったことがサンダイアル・キャピタルのジェイソン・ゲッフェルト氏が集計したオプション・クリアリング・コープのデータに示されている。

  下落リスクの兆候は3日と4日の米株式市場で鮮明になり、大型ハイテク株の構成ウエートが多いナスダック100指数は最高値からの下落率が一時10%に達した。プロスパー・トレーディング・アカデミーのスコット・バウアー最高経営責任者(CEO)は、小口投資家が夏にオプション市場を飲み干す勢いだったのを見てソフトバンクGが便乗したとも考えられると述べ、最初に始めたのが誰であろうと、先週の相場展開は何事も永遠にうまくいくわけではないことを示したと指摘した。

  バウワー氏は「絶対確実な戦略はない。それは確かだ」と述べ、「ロビンフッドのトレーダーや初心者トレーダーらはボラティリティーやこのような状況を経験したことがなく、率直に言って悪いところに目をつぶる。一本調子の上昇が続かない市場で起こり得る現実の厳しさを初めて知っただろう」と語った。

  買い手が1人であろうと多数であろうと、 人気大型ハイテク株のオプションの出来高は爆発的に増加している。フェイスブックとアマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、アルファベットといったいわゆる「FAANG」銘柄の建玉合計はかつてないペースで急増。通常なら下落局面に備えてコールよりプット(売る権利)の買いが多くなるはずだが、強気なコールの売買が大部分を占める異例の状況となっている。

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  アマゾンのコール出来高は2日までの30日間に平均14万6000枚と過去最多近くに上り、同期間にアマゾンの株価は9%上昇した。アップル株のコールは1日平均300万枚強と、過去6年で最多となり、アップル株はその間に24%上昇した。テスラ株のコールの1日平均出来高は200万枚に迫り、株価は28%上昇した。

  一部アナリストはソフトバンクのような巨大投資家が行ったことが確実であるトレードを目にしたが、出来高の大半は小口であるため個人投資家が背後にいることを示唆しているとゲッフェルト氏は分析する。インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏によれば、小口トレーダーが「r / wallstreetbets」でもてはやされた戦略を採用している証拠が見受けられるという。

  ソスニック氏は「これを収益マシンと見なし始めた小口投資家からの需要があることは間違いない」と述べ、 「ずっと上昇し続けると見込んだ銘柄のコールを買ってレバレッジをかける手法は、一時的な揺り戻しはあっても繰り返されるだろう。規模の大きいファンドも参戦していると思う」とコメントした。BTIGのエマニュエル氏もソスニック氏と同意見で、当初この戦術に懐疑的だったヘッジファンドが最終的に参加した兆候があると指摘した。

原題:
The Options-Enhanced Stock Market Money Machine Is Going Global(抜粋)

(市場関係者のコメントを追加して更新します)
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