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自民総裁選で優位の菅氏、安倍路線継承も外交手腕は未知数

  • 日米同盟が基軸、日本の立ち位置を変えるべきではない-菅官房長官
  • 中国とは首脳同士で「忌憚のない意見交換」できる環境づくり目指す

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自民党総裁選で優位に立っている菅義偉官房長官の国会事務所には日の丸を背景にトランプ米大統領と共に満面の笑顔で写真に納まった写真パネルが飾られている。

  トランプ氏と個人的な信頼関係を築き、長期政権で国際社会でも存在感を発揮した安倍晋三首相。7年8カ月にわたって首相を支えてきた菅氏は総裁選で路線継続を掲げるが、主に内政面で省庁にまたがる政策課題の調整や危機管理を担当していたこともあり、外交手腕は未知数だ。

  菅氏は2日の記者会見で、日米同盟を基軸として近隣諸国との関係を作るという今の日本の立ち位置は変えるべきではないとの認識を示した。官房長官として、日米首脳の電話会談には「すべて同席してきた」と訴えたが、首相とトランプ大統領のような信頼関係を築くには「極めて時間がかかる」とも語った。

Suga Formalizes Bid for Japan Prime Minister’s Job

菅義偉氏

日米関係

  菅氏の本格的な「外交デビュー」は昨年5月の米国訪問だ。ペンス副大統領、ポンぺオ国務長官らトランプ政権高官と相次いで会談。拉致問題担当相を兼務するとはいえ、官房長官の海外出張は異例のことだった。2日の会見では、トランプ氏を支えている閣僚らと「わたしもかなりじっこんにしている」と対米外交への自信ものぞかせた。

  安倍首相は、「地球儀を俯瞰(ふかん)する」積極的な外交戦略を掲げ、在任中に80の国・地域を訪問し、飛行距離は地球約40周分に達した。特にトランプ米大統領とは、趣味のゴルフを共にプレーするなど関係を深め、19年5月には、令和初の国賓として同大統領を迎え、日米両国の蜜月ぶりを演出した。

  11月には米大統領選があり、再選を目指す共和党のトランプ大統領に民主党のバイデン前副大統領が挑む。上智大学のティナ・バレット准教授は、仮にバイデン氏が勝利した場合には、「菅氏がバイデン氏と良い関係を築く可能性が高まるかもしれない」との見方を示す。安倍首相はトランプ氏とかなり良好な関係だったため、「バイデン氏との関係はぎこちなかったかもしれない」とも述べた。

  安倍政権下では、16年にオバマ前大統領が被爆地・広島を現職の大統領として初めて訪問。その後安倍首相も米ハワイの真珠湾を訪れ、歴史的な相互訪問が実現した。ただ、オバマ政権との間では、13年の安倍首相の靖国神社参拝について、米側が「失望」を示し、両国関係にあつれきが生まれた過去もある。菅氏は官房長官就任後、靖国神社を参拝していない。

中国、韓国

  中国との関係では、4月に予定していた習近平国家主席の国賓としての来日が新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期されたままだ。

  7月に入ると自民党内からは中国が香港への統制を強めていることを非難し、国賓訪日中止を求める声が上がった。尖閣諸島周辺では中国公船による領海侵入に日本政府は重ねて抗議している。

  菅氏は2日の官房長官としての記者会見で、習氏の国賓来日は「具体的な日程を調整する段階ではない」と指摘。3日のフジテレビの番組では中国とは「首脳同士が忌憚(きたん)のない意見交換をできるような環境をつくるということが大事だ」と語った。

  中国社会科学院日本研究所の蒋立峰氏は、「この1、2年、中国と日本の関係は前向きな軌道にあった」と話す。新首相には「不確実性がある」とした上で、「米国にどのような態度をとるのかを見守る必要がある」と指摘した。

  日韓関係は、徴用工や慰安婦などの歴史問題に加え、輸出管理を巡る問題などで対立が深まっている。

  韓国のシンクタンクである世宗研究所の陳昌洙氏は自民党総裁選に立候補する候補者を比較し、「菅氏は韓国との関係で、安倍首相のアプローチに固執する可能性が最も高い」と分析。 「韓国との関係の改善は、現時点では日本の優先課題ではない」との見方だ。

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