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中国政府の圧力で銀行の稼ぐ力低下-返済猶予で不良債権の実態見えず

  • 資本バッファー摩耗-7~12月もダメージ続く見込み
  • 工商銀や建設銀は「大き過ぎてつぶせない」-世界的にも重要な問題

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中国が景気回復持続のため最も必要としている45兆ドル(約4780兆円)規模の国内銀行業界に警戒信号が点滅している。

  新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた国民と企業の経済的負担を緩和するよう求められた銀行のストレスが高まっている。不良債権が記録的規模に膨らみ、資本バッファーも摩耗。銀行幹部やアナリストは、今年7-12月(下期)もダメージは続くと見込んでいる。

 

Worst Hit

China banks led U.S. and European peers in provisioning for bad debts

Source: Data compiled by Bloomberg, company filings

  また、こうしたリスクは景気を支える政府の取り組みを損ねるとともに、中国人民銀行(中央銀行)に対する刺激策強化の圧力も強めている。資産規模で世界最大の銀行、中国工商銀行中国建設銀行は世界的に「大き過ぎてつぶせない」とされており、この問題は世界にとっても重要な意味を持つ。

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  ひどく抑えられているのは、銀行が利益を出し資本バッファーを強化する能力だ。当局は銀行に対し低コストの資金提供や返済猶予、経営の厳しい中小企業向けの融資拡大を通じ利益1兆5000億元(約23兆3000億円)を抑制するよう求めている。新型コロナ対策の一環だが、多くの借り手に元利返済を来年3月に遅らせることを容認していることが、不良債権急増の実態を覆い隠している。

Sliding lending rates pressure banking profits

  小規模企業向けの平均貸出金利は1-6月(上期)に5.94%と、2019年から76ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下。工商銀の貸し出しは1-6月に1兆元を突破。過去最高を記録するとともに、安価な融資を大量に抱えることになった。

Banks' capital strength deteriorated as they ramped up loans

  中国の大手銀行は1-6月の利益が前年同期比で10%以上減少。記録上、最大の減益だ。政府からの圧力に関する最悪のシナリオでは、銀行は20年に20-25%利益を引き下げるよう誘導される可能性があるとジェフリーズのアナリスト、シュチン・チェン氏はみている。それがさらに資本を浸食し、財務安定へのリスクになるとの懸念も示す。

Profits Slump

China banks posted earnings declines as loan losses surged

Source: Company filings

  誰もが今、気にしているのは、深刻なリスクを招くことなく政府がどこまで銀行を指導するかだ。銀行側が採用を強化する中で、行員の給与を抑制すべきだと促す当局にとってもさえ気掛かりだ。

  銀行保険監督管理委員会(銀保監会)の肖遠企報道官は先週の記者会見で、新型コロナ感染と経済がどのような展開になろうとも、銀行が強固な資本基盤を持つことを銀保監会は確実にすると述べた。人民銀の劉国強副総裁は同じ会見で、銀行が確実に十分な資本を持つようにするため、人民銀はさまざまな省庁と協力していることを明らかにした。

Valuation gap widens between China banks and global peers

  ナットウエスト・マーケッツの中国担当エコノミスト、劉培乾氏(シンガポール在勤)は「人民銀が刺激策を強化する十分な政策余地を持つべきだ。商業銀行は自分たちだけが重荷を背負うことになると懸念する必要はない」と指摘している。

China's debt-to-GDP ratio surged as economy slumped

原題:Beijing Pushes Its Big Banks to Weakest Health in a Decade(抜粋)

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