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超長期金利に上昇懸念、公的年金の需要減退や日銀買い入れ慎重姿勢で

債券市場で超長期国債利回りに上昇懸念が出ている。公的年金基金による国債買い入れ減少に加えて、国債発行増額にもかかわらず、日本銀行が超長期ゾーンの買い入れ増加に慎重姿勢を続けているためだ。

  ニッセイアセットマネジメント債券運用部の三浦英一郎リードポートフォリオマネジャーは、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などの公的機関のアロケーション(資金配分)が減っているため需要が減退している」と指摘。「投資家は発行が増え需要が減る中、基本的に押し目買いのスタンスを取っている」と語る。

  投資家による国債需要は細っている。国内最大の機関投資家であるGPIFは外債への投資を10ポイント引き上げ保有資産の25%に増やし、国債への投資を削減する方針だ。超長期債の主な買い手の生命保険会社も国債より高い利回りが得られる外債やクレジット物などへの投資を軸足に据える姿勢だ。

  新型コロナウイルス対策で政府が2020年度の国債発行計画を当初計画比65%増の212.3兆円に引き上げたことに対して、日銀は長期債以下の国債買い入れを大幅に増やす一方で、超長期債は据え置いている。こうした要因もあって、新発30年債利回りは0.61%と昨年3月以来の0.6%台で取引されているほか、新発20年や40年債利回りも昨年序盤以来の高水準で推移している。

20年、30年、40年国債利回りの推移

政治巡る不透明感

  債券市場では安倍首相の後任選びにも強い関心を寄せている。後任には菅義偉官房長官が最有力候補となっている。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、菅官房長官が首相になった場合、安倍政権の下で以前からささやかれていた消費減税を掲げて解散総選挙に打って出るのか、あるいはしばらく封印するのか注目していると語る。

  新首相の下での経済政策は「支持率次第」で、支持率高ければそうした思い切った政策は温存する可能性があるが、新政権の下でも「いずれ消費減税が浮上する可能性がある」と指摘。その場合、国債が増発される一方で、日銀の超長期債買い入れは据え置かれる公算が大きく、ヘッジファンドが利回り曲線のスティープ化(傾斜=超長期債売り)をしかける可能性もあるとみている。

  三菱UFJ国際投信戦略運用部の加藤章夫ゼネラルマネジャーは、「10年と30年のスプレッドの拡大基調がもう一度が始まった感じだ」と指摘する。ブルームバーグによると、10年と30年債利回り格差は1日終値で0.57%。3月に過去最低付近の0.25%まで縮小した後、この2カ月間は0.5%を上回る水準で推移している。

10年と30年の国債利回り格差の推移

  加藤氏は「パンデミックが続いており、いつになったら終わるという見通しが立たないため、先々さらに財政政策が打たれる可能性はある」と指摘。「来年度以降もこのような規模の増発がある可能性はリスクとして消えてない」と語る。

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