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米金融当局の低金利長期化シフト、新興国中銀に一時の恵み

  • 新興国の中銀は米金融当局とは異なりインフレ高進を容認できず
  • ドル安は万能薬ではない可能性-JPモルガン・アセット

米連邦準備制度による低金利長期化の動きは、新興国の中央銀行に同様の行動を取る機会を与える。

  影響の度合いは国によって異なるが、米国の低金利長期化とドル安は新興国の資産価格を押し上げ、新興国の金融当局が自国通貨下支えや外国資本引き付けのために利上げをする必要性を弱める。

  だが幾つかの国はまだ高いインフレ率や不安定な為替相場を抱えており、新興国の中銀が米金融当局と同じくらい緩和的になるのには限りがある。

  ラジャン元インド準備銀行(中銀)総裁はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「米連邦準備制度理事会(FRB)が新興国市場のための余地を作った。しかし、それは新興国がFRBと全く同じことを行うお墨付きを得たということではない。新興国にはそれほどの余地はない」と指摘した。

ラジャン元インド中銀総裁

夜明け:オーストラリア。」 (出典:ブルームバーグ)

  FRBが今後何年も低金利を維持する可能性を意味する新しい金融政策アプローチにシフトしたことで、新興国の中銀は新型コロナウイルス感染拡大の中での脆弱(ぜいじゃく)な景気回復を支えるための低金利を維持しやすくなる。

  米国の低金利とドル安は既に、資本流出の波を食い止め、外国人投資家を再び新興国に向かわせている。ブルームバーグ・ドル指数は3月の高値から10%近く下落した一方、MSCI新興市場指数は3月の相場急落以降に40%以上反発し、8月25日に2019年末の水準を回復した。

Emerging-market assets are marching back amid policy support

  ただ、FRBとは異なり新興国の中銀は、インフレ高進を容認すれば資本流出や通貨混乱を招くことになる。食品価格の高騰は既にインドやトルコなどの国で問題化している。

  JPモルガン・アセット・マネジメントでアジア担当チーフ市場ストラテジストを務める許長泰氏は、ドル安はインドやトルコ、アルゼンチンなどの経済の活性剤になってはおらず、ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)が強固な国しか恩恵を受けないだろうと予想。「国内の構造的な弱さへの万能薬ではないかもしれない」と語った。

原題:
Fed’s Shift Is Temporary Boon for Emerging Market Central Banks(抜粋)

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