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東京人口流入に急ブレーキ、コロナショックで一極集中は変わるのか

  • 東京都は7月に13年7月以降で最大の転出超、東京圏も初の転出超に
  • 働き方の変化による一極集中是正にはもう少し時間-大和総研鈴木氏

新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、東京への人口流入に急ブレーキがかかっている。コロナショックがテレワークの普及などの働き方や人々の意識の変化をもたらす中、政府が目標に掲げながらも進展が見られていない東京一極集中の是正につながるのか、今後の動向が注目を集めている。

  総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、7月の東京都への転入者数は前年同月比12.8%減の2万8735人、転出者数は同1.5%減の3万1257人で、2522人の転出超過となった。転出超過は2カ月ぶりで、外国人を含んだ現在の統計をさかのぼれる13年7月以降では最大となった。

  総務省は、東京都を中心に新型コロナ感染者が再拡大した7月は転入が大きく減少した一方で、転出の減少は小幅にとどまり、緊急事態宣言発令中の5月の転出超過数1069人から倍増したと分析している。

Roppongi Cityscape As Tokyo's Daily Virus Tally Continues To Surge

東京

Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg

  東京都に神奈川、埼玉、千葉の3県を加えた「東京圏」でみても、転入者数は2万9103人、転出者数が3万562人で、1459人の転出超過となった。東京圏の転出超過は13年7月以降で初めて。

  大和総研の鈴木雄大郎エコノミストは、「4-5月の人事異動のタイミングで移動できなかった方々が、緊急事態宣言の解除を受けて動き始めた」と指摘。人事異動に加え、テレワーク普及も後押しし、東京からの転出は徐々に出始めている一方、大学のオンライン化などで若者層の転入は、減少したままだと言う。

東京への人口流入急減

出所:総務省(住民基本台帳人口移動報告)

  都市部では、人口の過密による新型コロナへの感染リスクの高さが浮き彫りとなっている。都道府県別の累計患者数は8月27日時点で、全人口の5割が住む3大都市圏が全体の76%を占める。全人口の3割が住む東京圏は全体の49%で、都市圏における人口の比率よりも患者数の比率が高い。

  内閣府が5月25日~6月5日に実施した調査によると、全国のテレワーク実施率は34.6%で、このうち継続希望は8割超に上った。テレワーク経験者の64.2%が「仕事よりも生活を重視するように変化した」と回答したほか、「地方移住への関心が高まった」は24.6%と、それぞれ通常勤務の回答割合を大きく上回った。特に20-30歳代で地方移住への関心は高かった。

内閣府の調査に関する記事はこちらをご覧ください

  政府は東京一極集中を是正する好機とみて、新型コロナ経済対策の地方創生臨時交付金を活用し、感染リスクの低減と地方経済活性化を促進する。14年から地方移住の推進や地域産業の活性化に取り組みながらも、少子化や東京一極集中に歯止めが掛からなかった状況を打開し、目標として掲げる60年の1億人維持に近づける狙いがある。

  鈴木氏は、「一部IT企業などでテレワークで全く問題ないという業態もあるが、週に1回の出社で大丈夫なのはメジャーではない。働き方が変わったことによる一極集中の是正は、もうしばらく時間はかかる」とみる。その上で、アフターコロナの地方創生の動きが強まってくれば、「これまで以上に進まなかった地方創生が進んでいく可能性がある」と語った。

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