コンテンツにスキップする

安倍首相辞任でも、経済・金融政策運営には大きな変更なしとの見方

  • コロナからの立ち直り優先、政策的変化は大きくない-野村証の桑原氏
  • 金融政策が違う方向で良くなるのは見えてない-JPモルガン鵜飼氏
Reactions as Japan's Prime Minister Shinzo Abe Announces Resignation
Photographer: Akio Kon/Bloomberg
Reactions as Japan's Prime Minister Shinzo Abe Announces Resignation
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

安倍晋三首相が28日、持病の悪化を理由に辞意を表明したが、これまでのアベノミクス下での経済政策や日本銀行の金融政策運営に大きな変更はないとの見方でエコノミストはほぼ一致している。

  野村証券の桑原真樹シニアエコノミストは、新型コロナウイルス感染症を取り巻く不確実な状況を踏まえると、後継者が誰になっても「コロナの落ち込みからの立ち直りを優先したいため、実際の政策的な変化は大きくないのではないか」とみる。日銀の金融政策についても「すぐに政策が引き締め方向に変わるとマーケットも反応してしまう。取りあえずは現状維持ということになるだろう」と語った。

  2012年12月に発足した第2次安倍政権は、日本経済の「デフレからの脱却」を掲げて、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」を3本柱としたアベノミクスを推進。この間、日銀は13年3月に就任した黒田東彦総裁の下で安倍政権と足並みをそろえて大規模な金融緩和を続けてきた。

  JPモルガン証券の鵜飼博史チーフエコノミストは、安倍政権の8年間を振り返り、「雇用情勢も改善し、物価もデフレではなくなったという状況にはなったので、そこは評価できると思う」と指摘。また、日銀は「現在の政策を継続していくと思う。金融政策が違う方向にいったらより良くなるというのが見えている訳ではない」と語った。

  安倍政権は3月以降のコロナ感染拡大への対応として、第1次、2次補正予算を編成するなど、これまでに国内総生産(GDP)の約4割に当たる事業規模234兆円の経済対策を打ち出した。日銀は企業などの資金繰り支援や積極的な国債の買い入れ、上場投資信託(ETF)などの資産購入拡大を通じて金融緩和を強化してきている。

  SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは、「辞任のリスクはあると多くの人が認識していたが、この段階で辞めるのはサプライズ」とした上で、「政策面は安倍さんが辞めたといっても短期的に大きく変わることはなく、粛々とコロナ問題へ対応を進めなければいけない」と指摘。ただ、「中長期的な方向性としてアベノミクスは変わり得る」との見方も示した。

  また、UBS証券の足立正道チーフエコノミストも、経済・金融政策は短期的には変わらないとし、「今のコロナ禍の中で緊縮財政や財政再建、日銀の政策はやり過ぎだからやめようなど、そういうことはあり得ない。黒田総裁がこれで辞めるということもない」とみる。その上で、「長期的に見て大きな政策のフレームワークが変わっていくということはあると思うので、今後どういう人が選ばれてどういう政権になっていくかというのは当然重要」と語った。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE