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銀座の賃料5%減、ビール販売戻らず-飲食店倒産が幅広く影響

更新日時
  • コロナで生活様式変化、宅飲みで補えず-食品・厨房機器も不振続く
  • 新型コロナウイルス関連の国内倒産は468件、業種別で飲食店最多に

「今日の予約はない、明日の予約はない」。銀座でイタリア料理店を経営するフェリーチェの青池隆明社長(43)は4月の緊急事態宣言で全店舗の営業を中止し、売り上げがほぼゼロになったころの状況を振り返る。6月に営業を再開するも売り上げは戻らなかった。「これ以上やっても先が見えない」と、銀座にある3店舗のうち、2店の閉店を決断した。

State of Emergency Takes Effect As PM Abe Warns of Surge to 80,000 Coronavirus Cases

新型コロナの感染拡大で人通りが大幅に減った銀座の街(4月8日)

Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

  青池氏と同様、休業などによる販売減で閉店に追い込まれる店は多く、飲食業は新型コロナで最も影響が大きかった業種となった。その長引く不振はビールや食品、厨房(ちゅうぼう)機器など取引先メーカーの販売から不動産市況まで幅広い業種にネガティブな影響を与えている。

  アサヒグループホールディングスによると、同社の国内ビール売上高は新型コロナの影響などで3月以降、業務用の低迷が続いた。

  ビール全体の販売は4月で底を打ち、7月の売上高は前年同月比6%減まで回復した。野村証券の藤原悟史アナリストは、飲料メーカーにとって一番厳しい状況は過ぎたとした上で、4月に底を打ってからの回復スピードは予想よりも遅いと指摘する。

  藤原氏によると、新型コロナで人々の生活様式がコロナ禍で変わっていることも、ビールの売上高を縮小させる懸念材料の一つ。在宅勤務の定着で外飲み需要が減少し、需要が業務用ビールから家庭用ビールへ移るとの見解を示した。家庭用ビールの売上高が業務用と同水準にまで拡大はしないと指摘する。

8-9割減

  オフィス街などビジネスマンが多いエリアでは特に顕著な影響が出る。銀座に店を構えるフェリーチェの青池氏によると、夜の来店が減ったことや宴会需要がなくなったことなどで酒類の仕入れが少なく、「通常の8-9割は減っていると思う」と述べた。

  外飲み需要の減少は二日酔い防止を期待して飲む人が多い「ウコンの力」にも影響を及ぼしている。ハウス食品グループによると、同商品を含む健康食品事業の4-6月期売上高は、前年同期比35%の減収となった。決算短信によると、外飲み需要の急減からウコンの力が大幅な減収になったことなどが原因。

  飲食店では酒類だけでなく、食材の仕入れも減少している。フェリーチェの青池氏は、6月に営業を再開するも、売上高は例年の3-4割にとどまったと話す。店舗の売上高と連動して食材の仕入れ量も変化するため、仕入れ量は同様に減少している。

  伊藤ハム米久ホールディングスの食肉事業は、スーパーなど量販店向けの販売は増えたものの、外食産業などへの販売減少が影響し、第1四半期(4-6月期)の売上高が前年同期比6.3%減、営業利益は同12%減となった。

  冷蔵庫などの業務用厨房機器を手掛けるホシザキにも影響は及ぶ。同社の国内事業の4-6月期売上高は前年同期比12%減、営業利益は28%減となった。新型コロナの影響で、限定的な営業活動を余儀なくされたことや顧客の設備投資抑制が減収につながったとしている。 

郊外は回復

  帝国データバンクによると、新型コロナウイルス関連の倒産は27日時点で全国で468件に及ぶ。業種別では飲食店の64件が最多となった。「ホテル・旅館」や「アパレル・雑貨小売店」が続いた。

  飲食店閉店などが影響して銀座では空室が埋まらない状況となり、直近の4年間で高止まりしていた賃料が5年ぶりの下落となった。不動産サービスのクシュマン・アンド・ウェイクフィールドの調査によると、4-6月期の銀座の賃料は前年同期比5%下落した。同社で商業物件部門の責任者、須賀勲氏は先行きが不透明であることから空室が埋まらず、大家が賃料の値下げを余儀なくされていると話す。

  須賀氏によると他の業種よりも飲食店の撤退が速く、銀座でも場所によっては「1割くらい下がっている」という。ビジネスマンや観光客に頼っていた都心部の店舗は厳しい状況に置かれているとし、年末から来年にかけて閉店の勢いが本格化するとみており、賃料の下落は今後さらに拡大する可能性があると指摘する。

  都心部とは対照的に、郊外は回復基調にある。須賀氏は、都心店は在宅勤務の継続や都心への外出回避から復調が鈍い一方、郊外店の回復が想定以上という。郊外の飲食店も出前サービスなどで売り上げが回復しているとした。

  立花証券のアナリスト、下川寿幸氏は、郊外にある立地の良い商業施設などは近隣住人にとって必要不可欠だとし、「極端に悪くなるというイメージはない」と述べた。

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