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日本経済は22年までにコロナ以前の規模回復も-伊藤コロンビア大教授

  • 来夏のワクチン普及を織り込み株価が上昇、今後は的を絞った対策を
  • 回復後は増税で財政健全化、教育・医療など規制緩和で生産性向上を

コロンビア大学国際関係・公共政策大学院の伊藤隆敏教授は、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬が開発されて広く普及した場合、日本経済は2022年までにコロナ以前の規模を取り戻す可能性があるとの見解を示した。

  伊藤教授は25日のインタビューで、日本経済の回復時期についての自身の見方は他の有識者やエコノミストらよりも「楽観的だ」とした上で、「ワクチンがうまくいけば、U字回復で22年ぐらいには戻れるのではないか」と語った。

  4-6月期の実質国内総生産(GDP)は戦後最大の前期比年率27.8%の減少となったが、コロナの影響が「過去の金融危機に比べると急激ではあるが期間は短い」と予想。ワクチンや治療法が見つからずに感染の第3、4波が来ない限り、「緩やかな回復、ひょっとしたら急激な回復が続き、終わってみればリーマンに比べれば大したことなかったということになるかもしれない」と述べた。

  伊藤氏は株式相場が3月を底にコロナ前の水準を回復しつつあることについて、「株式市場はワクチンができるのを完全に織り込んでいて、遅くとも来年の夏にはワクチンが完全に行き渡っていると思っている」と分析した。

Columbia University Professor of International & Public Affairs Takatoshi Ito Interview

伊藤隆敏氏

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  日本の政策対応に関しては、「財政支出の中身については注文を付けたいところはあるが、ほぼ適切」と評価。政府はこれまでに一律10万円給付を含む事業規模234兆円の経済対策を打ち出したが、「これから先は規模ではなく、使い道だ」とし、まずは10兆円の予備費の範囲内で、感染予防など的を絞った対策を講じるべきだとの考えを示した。

  具体的には、1)ワクチン開発、2)感染予防や感染拡大防止、3)ポストコロナ社会への対応-を挙げた。感染拡大を防止するため、特措法に休業命令や営業時間規制など強制力を持たせるべきで、休業補償は特措法とは別に必要に応じて考えればよいと述べた。

消費増税、規制改革

  伊藤氏は、コロナ以前の経済規模を取り戻した際には、今回の対策に投じた費用を国民全体で負担するため、消費税増税で財政を健全化していくことが必要だと強調。「財政赤字がサステイナブルなところに来るまで、少なくとも15%程度まで上げる必要がある」とし、毎年1%上げていくという方法を提案した。

  ただ、スムーズに増税するには「所得や生産性が上がらないといけない」とし、教育や医療、介護の規制緩和で生産性を上げ、働き手の給料や利用者の負担を引き上げていく必要性を指摘。テレワークや時短労働など新たな働き方に合わせた法整備や規則改正も必要だと語った。

  日本銀行のコロナ対策については、「金融政策の対応はなかなか難しい」とした上で、大規模な財政支出に合わせた国債買い入れで「十分、財政と金融の協調ができている」と指摘。非常時の対応であり、2%の物価安定目標は維持しているため、「財政ファイナンスとは言い切れない」との認識も示した。

  黒田東彦日銀総裁の財務官当時に副財務官を務め、18年4月の前回総裁任期の満了時には後任候補の一人に挙げられた伊藤氏。就任以来、政策協調してきた安倍晋三首相が仮に健康問題で辞任した場合でも、黒田総裁は「辞任してはいけない」と述べた。日銀総裁が「自己都合で辞めるという前例を作ってしまうと、将来、政治都合で辞めてくれというプレッシャーをかけられ、日銀の独立性が脅かされる」とその理由を説明した。

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