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米FDA長官、科学的根拠ないコロナワクチン承認せず-インタビュー

  • 医薬品の実用化を遅らせる職員いないとトランプ政権の批判に反論
  • 血漿療法に関する失言、もっと慎重になるべきだった
ハーンFDA長官

ハーンFDA長官

Photographer: Stefani Reynolds/Bloomberg
ハーンFDA長官
Photographer: Stefani Reynolds/Bloomberg

米食品医薬品局(FDA)が緊急使用許可(EUA)を付与した新型コロナウイルスの血漿(けっしょう)療法を巡り、ハーンFDA長官が有効性を過度に強調する説明を行った後、FDAに関する論争がわき起こった。

  ハーン長官はトランプ大統領と臨んだ23日の記者会見で血漿療法のデータについて、この療法により新型コロナ感染症(COVID19)による死者100人当たり35人の命が救われる可能性があると説明。その後、この説明は不正確だったことを認め、見解を修正した。

トランプ大統領らが示した血漿療法巡るデータの解釈は誤り-専門家  

ハーン米FDA長官、新型コロナの血漿療法に関する見解を修正

  これを受け、FDAによる新型コロナワクチンの検証方法や、FDAの科学的独立性を巡る疑念が生じている。再選を目指すトランプ大統領にとって新型コロナへの対応の評価は重要な意味を持つ。

  ブルームバーグはハーン長官に電話インタビューを行った。インタビューの要旨は以下の通り。

ブルームバーグ:大統領と臨んだ会見の後、多くの批判などが寄せられているが。

ハーン長官:大変だった。この2週間、血漿療法を巡り多くのことが起きた。そして、全体として政治介入が行われているとの印象を与えたと思う。私はFDAの科学者に全幅の信頼を置いているため、これが最大の懸念事項だ。

ブルームバーグ:あなたは高度の訓練を受けた医師であり研究者でもあるが、どうしてこのようなミスをしたのか。

ハーン長官:患者は相対的な尺度よりも絶対的な尺度の方が理解しやすいことが多く、患者に語るように説明しようとした。しかしもっと慎重になるべきだった。

ブルームバーグ:あなたの言い間違えを踏襲している他の政権当局者に間違えたことを伝えたか。

ハーン長官:まだ話していない。アザー厚生長官とはこの件について話し合った。

ブルームバーグ:今は極めて政治的な時期で、人々は疑心暗鬼になっている。今回の件でFDAに対する信頼が揺らいだのではないか。

ハーン長官:まさに私はそれを懸念している。正直かつ率直になることにより、信頼が回復することを願うばかりだ。

ブルームバーグ:血漿療法が広く利用できるようになれば、同療法の臨床試験に参加する患者を見つけるのが難しくなるのではないか。

ハーン長官:それについて心配している。

ブルームバーグ:トランプ大統領は、FDAがEUAを撤回した抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンを新型コロナ治療薬として推奨しているが、政治的圧力を感じるか。他の医薬品でも起こり得ると思うか。

ハーン長官:この件は承知しているが、私はFDAの職員に対してデータに基づいて判断を下す必要があると言っている。

ブルームバーグ:FDAの生物製剤評価研究センター(CBER)所長であるピーター・マークス氏が、安全性や有効性が十分に確認される前に新型コロナウイルスのワクチンが承認された場合、辞任する意向を表明したとロイター通信が報じているが、マークス氏はあなたにこの考えを伝えたか。

ハーン長官:それは聞いていない。しかしこれが本当だとしても私は驚かない。

ブルームバーグ:裏付けなしにワクチンを承認するよう求められていると感じた場合、個人としてどうするか。

ハーン長官:承認するつもりはないし、科学的根拠以外に基づく決定には参加しない。

ブルームバーグ:アクシオス報道によれば、ナバロ大統領補佐官が一部のFDA当局者に対し、トランプ大統領に政治的打撃を与えるため作業を遅らせていると批判し、「あなた方は全員ディープステート(闇の政府)だ。トランプ大統領が求めるようにスピード感をもって対応しなければならない」と語ったとされているが、本当にこういうことがあったのか。

ハーン長官:その発言が行われたとされる場に私はいなかった。報道で知った。実際に何があったのかは分からない。私が言えるのは、1万7000人強のFDA職員は真のプロフェッショナルだということだ。医薬品の実用化を遅らせようと考える職員は1人もいない。

原題:
FDA Boss Tries to Get Past Plasma Remarks: ‘I Made a Mistake’(抜粋)

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