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安倍首相の健康不安説拡大、退陣でも新政権はマクロ経済政策を維持か

  • 石破氏は東京一極集中是正が経済政策、岸田氏は消費減税「慎重に」
  • 河野防衛相は財政再建強調、菅官房長官はコロナと経済両立の旗振り
安倍首相

安倍首相

Photographer: Kim Kyung-Hoon/Reuters
安倍首相
Photographer: Kim Kyung-Hoon/Reuters

安倍晋三首相が2週連続で病院で検査を受け、健康不安説が拡大している。エコノミストらは、安倍首相が退陣しても財政や金融などのマクロ経済政策に大きな修正が加えられる可能性は少ないとみている。

  自民党内の「ポスト安倍」候補としては石破茂元幹事長、岸田文雄政調会長、河野太郎防衛相、菅義偉官房長官らの名前が挙がっている。安倍首相の総裁としての任期は来年9月までとなっており、石破、岸田、河野の3氏はこれまでも首相就任への意欲を見せてきた。

  日本総研の枩村秀樹チーフエコノミストは、仮に首相が変わっても「政策の急激な方向転換は考えにくい。今候補に挙がっている方であれば大きな違いはない」とし、実体経済へのインパクトは小さいとの見方を示した。ただし、「これまでのアベノミクス路線が変わる可能性があるという連想から株安円高に動く可能性もある」とみる。

  2012年12月に発足した第2次安倍政権は、日本経済の「デフレからの脱却」を掲げて、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」を3本柱としたアベノミクスを推進し、日本経済の再生を図ってきた。大規模な金融緩和策によって過度な円高は是正され、株価も安倍政権発足時の約2倍に上昇。完全失業率は今年6月時点でも2%台の低水準で推移している。

株価2倍、為替安定

  野村証券の桑原真樹シニアエコノミストは、「安倍首相交代となったときに緊縮政策になるのではないかという予想から一時的に円高になるマーケットリアクションはあり得る」という。ただ誰が次の首相になっても、「当面の景気には配慮しながらやっていくので、現実的にはそこまで大きくは変わらない」とし、成長戦略についても「人が代わったことによって方向が変わってしまうことはないだろう」と述べた。

ポスト安倍

  次期首相候補として世論調査での人気が高い石破元幹事長は、安倍首相との一騎打ちだった18年の総裁選で、アベノミクスに一定の評価をした上で、中小企業や地方も経済成長の実感を得られるようにすべきだと主張。経済、財政政策で大きな転換を図る考えは示さなかった。

  石破氏は、7月のテレビ朝日の番組で、自身の経済政策について「グローバル経済からの脱却、東京一極集中の是正」であると説明。低金利政策の長期化に関しては、「どこまで維持をするか」と指摘。「金利を上げるなんてこと、間違っても私は言えない」としつつ、「本来あるべき経済に戻すことを視野に入れていかなければいけない」と述べた。

  同様に次期総裁選への出馬に意欲を見せる、岸田政調会長は、安倍政権が2度の税率引き上げを実施した消費税について、自民党内でも浮上する減税論に否定的な立場だ。岸田氏は、24日のテレビ東京の番組で、消費税は社会保障の財源となる基幹税であり、税率引き下げは「慎重に考えていかなければならない」とした。

  岸田氏は同番組で、新型コロナウイルスとの戦いが続く現状を「有事」と捉え、「財政、金融政策を総動員して今の危機を乗り越えるために全力を尽くさなければならない」と言及。「日本も世界に伍(ご)してしっかりと思い切った財政出動をやらないといけない」とした。事態収束後には、「財政健全化も念頭に置きながら、その方向性も追求していかないといけない」と加えた。

  今月発売された月刊誌「文芸春秋」のインタビューで、初当選時から首相を目指してきたと語った河野防衛相は、「アフター・コロナ」の時代も「社会が分断されないよう、国民を一つにまとめていく」ことがリーダーには求められていると指摘。セーフティーネットが整備された社会保障を実現するため、「財政再建、特に財源をしっかりと確保していく必要がある」と主張している。

  アベノミクスに関しては「デフレから反転し、何となく世の中を明るくした」ことが「大きな成果」だと評価した。

  菅官房長官は第2次政権発足以降、7年8カ月にわたって中枢で安倍首相を支えてきたが、自身は「ポスト安倍」への意欲を否定する。

  新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念される中でも、感染防止と経済活動の両立を一貫して主張してきた。菅氏は24日の記者会見で、先月開始した政府の観光支援事業「Go Toトラベル」について、「これまで少なくとも延べ200万人が利用した」と成果を強調。観光業は「まさに瀕死(ひんし)の状況だ」として、専門家の意見を聞きながら事業を進める考えを示した。

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