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コロナが行政デジタル化加速への契機に、遅れで政策効果減少も

  • 今年の「骨太の方針」にはデジタル化への集中投資・実装が明記
  • インフラが伴わないと政策効果を最大化できない-第一生命の星野氏

新型コロナウイルス感染症の流行は、日本政府が行政のデジタル化に本気で取り組む契機となっている。コロナの拡大以前は受け入れられていた慣習が、政策効果を減少させる可能性が指摘されていることが背景にある。

  行政サービスのデジタル化の遅れは感染拡大後、さまざまな支援策が行き渡らない原因にもなってきた。そうした現状を踏まえ、7月に発表された「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太の方針)では、今後1年間を集中改革期間として位置付け、デジタル化への集中投資・実装などを加速する方針が明記された。

デジタル化の遅れ

IMDの世界デジタル競争力ランキングでは、日本は63カ国中23位にとどまる

出所:IMD World Competitiveness Center

  エコノミストによると、行政サービスのデジタル化の遅れは財政政策の効果をそぐ傾向があり、日本の競争力についても民間のデジタル化の足を引っ張る形で後れを生じさせている。

  経済学者で早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問の野口悠紀雄氏は、日本の行政システムのデジタル化は「世界の趨勢に少なくとも20年遅れている」と指摘。「一刻も早く、紙と印鑑のシステムから脱却する必要がある」とした。

  IMDの世界デジタル競争力ランキングでは、日本は63カ国中の23位にとどまる。政府は電子署名などの活用を推進し始めているが、押印の使用についてはまだ問題が残る。コロナ禍でも書類に押印が必要な状況が発生しており、在宅勤務を難しくする要因となっている。

  第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストはデジタル投資が今まで阻まれてきた背景には、財源の問題もあると話す。デジタル投資は「無形資産投資」に含まれるため、建設国債ではなく赤字国債が財源となることも、建設投資に比べ無形資産投資の割合が低くとどまってきた一因ではないかとみる。

  「10年ごとに似たような危機が起きる可能性は十分にある」と星野氏は指摘。「インフラが伴わないと政策の効果が最大化できない」と懸念を示した。

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