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「全盛期が過ぎた」FRBの姿、年次シンポであからさまに

  • 低成長・低インフレ・低金利で政策対応の余地狭まる
  • コロナ禍とその後遺症、少子高齢化で情勢悪化も-日本化の恐れ

米ワイオミング州の壮大なティトン山脈を見渡すジャクソン・レーク・ロッジで1982年から毎夏開催されてきたカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム。新型コロナウイルスが猛威を振るう今年は、27、28両日にオンライン開催される。

  バーチャル形式のイベントは雄大な自然環境との比較で見劣りするが、迫力を欠くと言う点では恐らく、米連邦準備制度を初めとする各国・地域の中央銀行の政策効果自体にも同じことが当てはまるかもしれない。

Federal Reserve Jackson Hole Economic Symposium

ジャクソン・レーク・ロッジからの眺望

Photographer: David Paul Morris/Bloomberg

  新型コロナ危機に直面し、米国を含む各国・地域の金融当局が前例のない対応を打ち出してきたのは確かだ。世界経済に計何兆ドル相当もの流動性や信用を供与し、その過程で金融市場におけるプレゼンスは大いに高まった。

  しかし、新型コロナ感染拡大は金融当局の専門家にとってあまり好ましくない現実を浮き彫りにした。世界経済の監督者として過去何十年も成果を挙げてきた金融当局だが、もはや自分たちだけで景気循環を管理する火力は持ち合わせていない。

  金融当局は財政当局の支援を必要としており、そのことは新たな包括的刺激策を巡って米議会が膠着(こうちゃく)状態に陥り、緒に就いたばかりの景気回復を損ないかねない状況となっている現状から痛ましいほどに鮮明となった。

Fed again cuts rates to near zero

  「中銀の全盛期は終わったのではないだろうか」。サマーズ元財務長官は今年に入ってからのプリンストン大学のオンラインセミナーでこのような挑発的な発言をしていた。

  パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長も、中銀が直面するこうした危険を十分認識している。パウエル議長はジャクソンホールで行われた昨年のシンポジウムで、世界的な低成長と低インフレ、低金利が新たなノーマルとなっていると指摘した。

  米金融当局が1年半余り前から金融政策とその運営の徹底的な見直しに着手し、パウエル議長がシンポジウム初日に最新状況について講演する予定であるのにはまさにこうした理由がある。

  この見直し作業は9月に完了する見通しで、米金融当局はインフレに関して従来よりも容認する姿勢を採用することになりそうだ。金融当局が2012年に2%の物価目標を導入以降、当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数の上昇率は平均1.4%と目標を下回って推移していることから、当局者はインフレ率が一時的に2%を多少上回るのを歓迎する意向を示す可能性もある。

Falling Short

Fed mostly missed its target because of too little inflation, not too much

Source: Fed's preferred inflation gauge from Bureau of Economic Analysis

  低インフレと低成長は、歴史的な低金利の継続を意味し、米金融当局は景気下降に見舞われても大幅利下げという対応力を欠いて、不況が一段と深刻化・長期化することになりかねない。

  さらに、元FRB当局者で現在はコーナーストーン・マクロのパートナー、ロベルト・ペルリ氏は新型コロナ禍とその後遺症で金融当局を取り巻く情勢は一層悪化しかねないと警告する。別の感染症の流行に伴う経済的打撃に備え、家計が防衛のために貯蓄を増やして金利に下押し圧力が及び、将来のリセッション(景気後退)時に当局の利下げ余地が小さくなるというものだ。

  少子高齢化に伴う貯蓄増や労働人口の伸び鈍化も経済成長を制約することになり、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルの米国担当チーフエコノミスト、ルイス・アレキサンダー氏は「金利を下押ししている諸力は長期的な要因であり、事態が好転するとは特に楽観していない」とコメント。その結果、米国が日本のような状況に陥る恐れがあるとコーナーストーンのペルリ氏は指摘した。

原題:‘Past Peak Central Banking’ on View as Jackson Hole Goes Virtual(抜粋)

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