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中国頼みの化粧品各社-現地ニーズに合わせて販売のオンライン化加速

  • ECでの値引き加熱やライブ販売でマージン悪化につながる懸念も
  • 中国市場の化粧品売上高は回復基調-6月は21%増:国家統計局

国内化粧品各社は、いち早く消費が回復した中国市場で増収を確保するため販売のオンライン化を加速している。新型コロナウイルスの影響で国内でインバウンド需要が急減したほか、国内外での店舗休業や外出自粛が大きな痛手となったことが背景にある。

  「使い心地と価格、要はコストパフォーマンスです」。上海市に住む張秋岑さん(20)は、化粧品購入時に気にする点についてこう話す。念入りに価格を比較する張さんが活用するのが、インターネット通販(EC)サイトでほぼ毎月開催される値引きキャンペーンだ。

  

Shiseido CEO Masahiko Uotani Unveils New Makeup Line

資生堂のリップスティック

Photographer: Keith Bedford/Bloomberg

  コロナ禍の影響で化粧品各社の業績は減収減益を余儀なくされているのに対し、中国での売り上げは好調だ。花王の広報担当、高橋牧子氏によると、同社の4-6月期の中国の売上高は前年同期比で2桁伸びたと話した。ポーラ・オルビスホールディングスのIR担当者も4-6月期の中国事業の売上高は35%増だったと述べた。

  中国の化粧品小売りの売上高は4月から徐々に回復しており、国家統計局によると6月には前年同月比21%増と、化粧品の増加率は同月の主要品目別売上高で最大となった。資生堂の魚谷雅彦社長は6日の決算発表会見で、中国市場で購買意欲が高まっており、「間もなくアメリカを抜いて世界一の化粧品市場になる」との見解を示した。

  中国市場の活況を支えるのがEC販売だ。コーセーの広報担当者によると1-3月期の同国でのオンライン化粧品売上高は前年同期比59%増。資生堂やポーラ、花王など他のメーカーも中国でのオンライン販売は軒並み好調だ。

  こういった状況に合わせて各社は販売方法のオンラインシフトを進めている。資生堂は、全世界の広告費に占めるインターネット向けの比率を19年の50%から2023年までに90-100%まで引き上げ、同時に中国でのEC販売の売上比率を34%から50%に拡大させることを目指している。

  店舗での販売と、ネット上での生中継で紹介した商品を販売する「ライブ販売」を組み合わせたり、現地EC最大手アリババ・グループ・ホールディングの通販サイトを活用したりすることを計画。魚谷社長は同日の会見で、オンラインシフトについて「これまでの取り組みスピードではダメで、もっと加速したいと思っている」と語った。

急速にECシフト

  SMBC日興証券の佐藤有アナリストは、化粧品の販売チャンネルはこの半年で急速にECにシフトしていると指摘する。元々中国ではECが活発であったことに加え、新型コロナによる巣ごもり消費が後押しし、「化粧品がうまくECにシフトできた」と話した。

  中国の家計所得が下がっているにも関わらず化粧品の売り上げが成長した背景には、値引きによる「お得感」があると指摘する。同氏によると、例年であればECサイトでの値引きは3ー4割程度だが、6月に行われたセールでは最大で8割引きという価格が提示されたケースもあったという。佐藤氏はコロナ禍を機に、化粧品各社による値引きが加熱したとみている。

  値引き競争はEC拡販を目指す各社にとって、販売マージンの悪化につながる可能性がある。特にECで高級化粧品の売り上げを伸ばしている資生堂の4-6月期の中国事業の利益率は、前年同期の9.1%から4.3%に急減。値引きに加え、ECサイトなどで動画配信を活用してライブ販売を行う「インフルエンサー」と呼ばれる影響力のある人物への広告費の支払いなどもマージンを圧迫する懸念材料だ。

  日本国内の市場を潤したインバウンド消費の復活は当面見込めず、各社は中国で売上高を確保しなければならない状況に直面している。そのため、マージン悪化の懸念はあるものの、各社がしのぎを削るEC市場は無視できない存在となっている。佐藤氏は、従来のような百貨店などでの対面販売から脱却する必要があり、今後は適切にコストを管理しつつどう売り上げを伸ばすかが鍵になると指摘した。

  資生堂の魚谷社長は6日の会見で、資生堂製品の「長期の愛用者をつくる」ことが重要だとし、場合によっては定額制のサブスクリプション型サービスなどを「中国で先行して、世界に先駆けて作っていきたい」と話した。

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