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物価押し上げの米連邦制度の取り組み一定の成果-市場がシグナル発信

  • 米10年債実質利回りはゼロを割り込み、家計のインフレ期待は加速
  • 連邦準備制度は景気過熱よりも回復の勢いが失われることを心配

新型コロナウイルス感染拡大に伴うデフレの脅威から米経済を守ろうと、連邦準備制度が物価押し上げに取り組んでいるのに対し、米国債市場はOKのサインを発しているものと見受けられる。

  それが最もよく分かる指標はインフレ調整後の米10年債利回りだ。名目利回りはほぼ横ばいで推移し、インフレ率を差し引いた実質利回りはゼロを大きく割り込んだ。米家計のインフレ期待の高まりも金融当局が成果を上げていることを示唆している。

  米国債市場での消費者物価見通しを反映するブレークイーブン・レートの10年物は約1.69%と、3月に付けた0.47%の低水準から大幅に上昇。また、7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1%上昇で、変動の大きいエネルギーと食料品を除くコア指数は1.6%上昇と、4カ月ぶりの大幅な伸びとなった。また、消費者の今後3年間のインフレ期待は2.73%と1年超ぶりの水準に加速した。

  これらのシグナルはいずれも、米金融当局による事実上のゼロ金利政策と多額の国債購入が一因となってインフレがある程度高まる可能性を投資家が織り込んでいることを示している。議会がこれまでに計3兆ドル(約318兆円)規模の経済対策を承認し、さらなる対策を議論していることから、超緩和的金融政策と財政刺激策を背景に物価圧力が将来的に抑えられなくなるのではないかとする見方さえある。

Higher inflation expectations, lower real yields a Fed win

  金相場が1オンス=2000ドルを上回り、ドルが下落していることも、インフレ見通しへの関心を高めている。インフレ率が引き続き2%の当局目標を大幅に下回っている状況下で物価上昇が加速すると投資家が予測しているとすれば、消費者や企業がそれを現実のものにするだけの支出に動くことに期待が持てる。

  一方、米金融当局者は景気過熱よりも景気回復の勢いが失われることの方を心配しており、議会に対しても支出が過大になることではなく、不足することを警告している。

  インフレ見通しが同じペースで上昇し続けることはないとの兆候が既にあることから、米金融当局は仮に突然のインフレ急伸があっても対応できると想定して、今後何年間も緩和策を維持する公算が大きく、現行よりもさらに緩和する可能性もある。

  エバコアISIの中央銀行戦略責任者、クリシュナ・グハ氏は市場が発しているシグナルについて、「インフレ期待がまだあまりにも低水準にあり、政策の余地が限られているこの局面において、まさに連邦公開市場委員会(FOMC)が目にしたいと望んでいるものだろう」と語った。

Falling Short

Fed mostly missed its target because of too little inflation, not too much

Source: Fed's preferred inflation gauge from Bureau of Economic Analysis

A rebound in rates could crimp home buying

原題:
Markets Tell the Fed It’s Finally Getting an Edge on Inflation(抜粋)

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