コンテンツにスキップする

日銀はコロナ対策の延長や柔軟なETF買い入れ必要に-門間元理事

  • 経済下振れなら財政中心に追加策、日銀は長期金利抑制で側面支援
  • コロナ機に進む対話修正、政策正常化には物価目標含めて再検証必要

日本銀行元理事の門間一夫みずほ総合研究所エグゼクティブエコノミストは、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化が避けられない中で、日銀は日本の経済・物価がシナリオ通りに推移したとしても、現行のコロナ対策の期限延長や、現在の枠組みでの指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れのさらなる柔軟化が必要になるとの見解を示した。

  門間氏は17日のインタビューで、2020年度に5%程度のマイナス成長に落ち込んだ後、21年度にその半分程度を取り戻すという政府・日銀のシナリオに沿って経済が推移すれば、「政策対応は財政も金融もできているので、追加的な方策は必要ないということになる」と語った。

  もっとも、時限措置のコマーシャルペーパー(CP)・社債の買い入れ増額と資金繰り支援の新型コロナ対応特別オペが期限切れとなる「来年3月の段階で先行きの不透明感がほとんど無くなる状況は想定しづらい」とし、「コロナの不透明感があり、その後遺症で経済が弱い間は、CP・社債とコロナ対応オペを延長する可能性が高い」と言う。12月、あるいは「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表する来年1月の金融政策決定会合が、延長決定の「常識的なタイムライン」とみる。

Federal Reserve Bank Of Chicago President Charles Evans Joins IMF Panel

門間一夫氏

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  コロナの影響で金融緩和はさらなる長期化が必至。門間氏は、イールドカーブコントロール(YCC)の枠組みは「持続性が高い」としつつも、年間の買い入れ上限を12兆円に引き上げたETFについては「持続性のある買い方」にすることが重要だと主張。買い入れは基本的に市場の混乱時に限るべきだとし、「上限は12兆円だが、下限は決まっていない。買い入れがゼロの月があってもいいし、それは声明文とも矛盾しない」と語った。日銀は18日にETFを約800億円購入、それまでの1回当たり約1000億円から減額した。

アクセル緩める

出所:日本銀行、ブルームバーグ

リーマン超えなら金融システムに不安

  他方、経済が政府・日銀のシナリオから大きく下振れるリスクが高まった場合、財政政策を中心に追加の政策対応が必要になると門間氏は予想。感染再拡大を防止する観点から需要喚起策を打ち出しづらい中、財政政策は引き続き「企業・家計の資金繰りと、所得や資本性資金の支援をしていく2本立てになるだろう」と予想、日銀はYCCで長期金利をゼロ%程度に抑え込むことで「結果的に財政支出の増加を側面支援していく格好になる」とみる。

  追加の金融政策対応としては、CP・社債の買い入れやコロナ対応オペといった企業の資金繰り支援を中心に「既存の額では足りないということであれば、躊躇(ちゅうちょ)なく枠を拡大することになるだろう」と語った。一方でマイナス金利の深掘りは、金融システムへの悪影響に加え、市場が好意的な反応を示すかも不透明だとし、「ハードルは相当に高い」との見方を示した。

  経済の一段の下振れは、企業の支払い能力を低下させ、信用コストの増大が金融システムに波及する懸念がある。門間氏は、日銀などの分析を踏まえてリーマン級のショックで日本の金融システム全体が不安定化する可能性は小さいとしながらも、それを上回るショックに「十分に対応できるかどうかは、正直に言って多少の不透明感がある」と指摘。

  そうした事態を回避するため、「企業に資金繰りや資本の支援をすることで、金融機関の信用コストが増えることを未然に防止することが最もあり得る対応策だ」と分析。財政負担が一段と膨らむものの、「金融システムと実体経済が負の相乗作用を起こしてデフレスパイラルになることを防ぐため、政策的に万全の対応をとるという意識は政府と日銀で共有されている」との認識を示した。

  門間氏は、日銀が展望リポートで物価見通しを民間予測並みに引き下げたことや、国債買い入れにおける80兆円の「めど」を撤廃したことについて、コロナショックという大きな外部環境の変化を機に「今までコミュニケーションで無理があった部分をうまく正常化できた」とみる。

  しかし、コロナ収束後を展望しても「金融政策の正常化については、全く道筋がついていない」とし、そのためには「物価2%目標のあり方、長期的な低金利継続とETFなどで市場介入を強めてきたことの副作用を総括し直す必要がある」と指摘。2%の旗を降ろすことは難しいとしながらも、「2%は簡単には実現できないという認識をベースとした金融政策の枠組みを哲学として明確にすることが必要だ」と語った。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE