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Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg
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新型コロナ直撃、日本企業は半数減益へー株価は「及び腰の期待相場」

  • 東証1部3月期企業1482社中、696社が純利益減少予想ー未定も461社
  • 日銀買いで業績感応度低下、株価とかい離ーSMBC信託の佐溝氏
Commercial and residential buildings are seen from the observatory in the Roppongi Hills Mori Tower, operated by Mori Building Co., in Tokyo, Japan, on Thursday, July 30, 2020. Officials in Japan are planning stricter measures on businesses and group activities as coronavirus cases continue to spread from a concentration around the capital to other urban areas across the country.
Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg

日本企業の今期(2021年3月期)決算は、新型コロナウイルスが経営環境を直撃して少なくとも半数が減益になる見通しだ。業績面で逆風が吹く中、日本株は世界的な過剰流動性に支えられてコロナによる最安値からの戻り高値近辺にあり、一段高には収益改善といった裏付けが必要になりそうだ。

  ブルームバーグのデータによると、東証1部上場の3月期決算企業1482社で18日までに1021社が今期予想を開示、全体のほぼ半分に当たる696社が純利益の減少や損失を見込んでいる。増益見通しは324社、変わらずが1社あった。コロナの影響が読めないなどとして依然として461社が予想を未定としており、減益見通しの割合は増える公算が大きい。

  企業業績は必ずしも良くないが、世界的な金融緩和が過剰流動性を生み出し、あふれ出した投資マネーが増益企業や予想開示企業に流れている。さらに日本株は下落局面では日本銀行が上場投資信託(ETF)を購入するとの期待が市場に広がり、相場を下がりにくくしている。東証株価指数(TOPIX)は3月中旬の安値から3割以上戻している。

  SMBC信託銀行の佐溝将司マーケットアナリストは日本株について、米国株上昇局面でリスクオン、下値では押し目買いが入るとして「実際の業績とマーケットのかい離が生じている」と指摘。日銀ETF買いが業績悪化への感応度を低下させている面もあるとした。このため現在の株高を支える米長期金利の上昇が続くと「市場が業績見極めに転換して一気に相場が崩れることにもなりかねない」と述べた。

減益額3割は自動車

  減益見通し企業では、トヨタ自動車や三菱自動車といった自動車メーカーを含む輸送用機器が金額で全体の3割を占めた。自動車産業は素材や部品などサプライチェーン全体を含めると日本の産業構造の中で占める比重が最も高い。アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは、新型コロナ感染拡大を受けた今期予想について「自動車業界への打撃は想定以上だった」と話した。

業種別の減益額合計

輸送用機器で3割を占める

ブルームバーグ

単位:億円

  自動車生産が一時的に停止したことで、鉄鋼など金属を卸売りする三井物産の今期純利益は54%減る。原料の鉄鋼を扱う愛知製鉄の純利益はゼロだ。自動車の内装品を手掛ける東レは純利益53%減少、設備投資に資金が回らなくなりファナックの純利益は53%減予想だ。

  業績見通しが出せない企業はオリエンタルランドや東急、JR東日本、ANAホールディングスなど。人の移動や訪日外国人減少で、売り上げの回復が想定以上に遅れている。こうした企業についてアイザワ証の三井氏は、経済が正常化して新型コロナのワクチンで進展があっても「人々の行動様式が変わってしまうことや働き方改革の流れも受けて、厳しい状況が続く」と語った。

  増益見通しは東証1部33業種で情報・通信や電気機器に最も多かった。第5世代通信規格(5G)関連のモーターやファンが好調だった日本電産の純利益は70%増見通し、5GやAI(人工知能)普及で半導体製造装置などの需要拡大を見込む東京エレクトロンは11%増予想だ。「コロナ禍でも成長要因がある銘柄の業績見通しは引き続き強い」と大和証券投資戦略部の高橋卓也シニアストラテジストは評価する。

  戻り歩調にある日本株の現状について大和証の高橋氏は、成長株一辺倒から出遅れていた自動車や金融などバリュー株への評価も高まる「両にらみ」の株価形成へと変化していると指摘した。7-9月期決算が市場の期待を裏切れば相場が反転する可能性を示しながら「業績の裏付けを確認するまでは、及び腰ながらも期待が続く相場になりそうだ」と予想している。

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