コンテンツにスキップする

2020年の米大統領選、郵便投票が注目を集める理由-QuickTake

更新日時
  • 新型コロナの影響で多くの有権者が郵便投票を選ぶとみられる
  • 郵政公社に対する政府支援の問題も与野党の対立を招いている
Envelopes sit ahead of a Shut Down DC protest in Washington, D.C., U.S., on Saturday, Aug. 15, 2020. 

Envelopes sit ahead of a Shut Down DC protest in Washington, D.C., U.S., on Saturday, Aug. 15, 2020. 

Photographer: Eric Lee/Bloomberg
Envelopes sit ahead of a Shut Down DC protest in Washington, D.C., U.S., on Saturday, Aug. 15, 2020. 
Photographer: Eric Lee/Bloomberg

過去の米大統領選で郵政公社が大きな争点となったことはほとんどない。しかし今回は新型コロナウイルスの感染拡大により、2つの点で郵政公社に注目が集まっている。まず、コロナ禍で郵政公社はバランスシートが悪化し、政府による直接支援の必要性が高まっている。一方で11月3日の投票日を前に、記録的な数の有権者が人混みを避けるために郵便投票を選ぶと見込まれている。それが再選を目指すトランプ大統領を大いに悩ませている。

1. 郵便投票の何が問題か

  トランプ氏は、全米規模で郵便投票を行えば「歴史上最も不正確で不正にまみれた選挙」になると主張し、一時は新型コロナ感染が落ち着くまで選挙自体の延期を望む考えさえにじませていた。ただ、郵便での投票が広範な不正を招くという証拠はない。また、郵便投票が共和党に不利に働くというトランプ氏の主張も根拠に乏しい

2. 郵便投票はどれほど広がるか

  カリフォルニア、コロラド、ハワイ、オレゴン、ユタ、バーモント、ワシントンの各州とコロンビア特別区では、全有権者が自動的に投票用紙を郵便で受け取り、そのほとんどで返信料金も州が負担する。一方、ミズーリ、ミシシッピ、テキサスの各州では、障害や高齢などの理由が認められた場合のみ、郵送による「不在者」投票が認められている。上記以外の多くの州はその中間に位置している。つまり、有権者は郵送による「不在者」投票を事前に申請しなければならないが、その理由を伝える必要はなく、単にコロナ懸念を引き合いに出すこともできる。

3. 郵政公社で何が起きているか

  トランプ氏が5月に指名したデジョイ総裁の下、業務見直しが行われている。同総裁は共和党への大口献金者。郵政を監視する下院小委員会を率いる民主党のジェラルド・コノリー議員(バージニア州)は、デジョイ新総裁が進める見直しを「選挙の直前に郵便サービスを混乱させるための意図的な妨害行為」と非難している。同総裁は「業務の中核を一段と重視し、将来的な成功のチャンスを高めるための組織再編」だと文書でコメントしている。

4. 郵政公社の財務状況

  郵政公社は計63万人を超える職員や契約労働者を抱える米国最大の雇用主の1つ。新型コロナの打撃を受ける前から財務悪化に長年悩まされてきた。支出は13年連続で収入を上回り、2019会計年度までの純損失は778億ドル(約8兆2900億円)に上る。政府監査院(GAO)は5月7日の報告書で、議会が救済に動くか郵政公社の事業モデルを見直さない限り、同公社の「使命と支払い能力はますます危機的状況になる」と指摘していた。

5. 支援めぐる与野党の攻防

  議会民主党は政府のコロナ対策の一環として、郵政公社に対する250億ドルの支援のほか、各州が郵便投票や期日前投票を拡大できるようにする36億ドルの支援金拠出を求めてきたが、これまでのところ実現していない。トランプ氏は12日、もし民主党が「この2項目を達成できなければ、幅広い郵便投票が不可能であることを意味する」と語った

トランプ氏、郵政公社支援含む経済対策に反対-郵便投票「不正」主張

6. 郵便投票をめぐる訴訟

  郵便による投票の仕組みを巡り、42の州とコロンビア特別区で約200件の訴訟が起こされている。郵便投票の具体的な規則や手続きについては州ごとで方針が大きく異なる。一般的には、共和党は郵便投票プロセスの規制強化を求めており、民主党は裁量余地の拡大を求めている(従来の常識では、投票率が上がると非白人や低所得層の票が増えるため民主党が有利になるとされる)。

7. 投票日までに問題は解決するか

  恐らくしないだろう。選挙が接戦となれば、結果が判明するまでに数日はかかる可能性がある。その間、現在提訴されている問題の多くは、新たな訴訟や再集計の要求で再浮上する可能性もある。

原題:Why the U.S. Mail Is 2020 Presidential Campaign Issue: QuickTake(抜粋)

(4段落目にデジョイ郵政公社総裁のコメントを追加して更新します)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE