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【コラム】バイデン氏の賢明な人選、多くを語る-M・ブルームバーグ

賢明な責任者であれば誰しも、自身の成果の善し悪(あ)しはどんなチームをつくるか次第であることを認識している。

  これは私がこれまでの経歴を通じて学んだ教訓であり、現職の米大統領が明らかに身に付けてこなかった教訓でもある。11月の大統領選の民主党候補指名を確実にしているジョー・バイデン前副大統領は、この点を理解していることをまさに証明してみせた。カマラ・ハリス上院議員を副大統領候補に起用したことで、バイデン氏は政権運営のための強力なパートナーを選んだ。

  米国が過去何十年かで最悪の危機に相次いで直面している現状にあって、ホワイトハウスが常に混乱と動揺に見舞われ、スキャンダルが絶えず、無謀な決定が続き、約束を破ってばかりで、心ないツイートを連発する状況がいかに国を弱体化させるかをわれわれは目の当たりにしてきた。

  米国が現在進行中の災難から脱するには安定的で成熟し、責任ある指導力が必要であり、バイデン氏がそれを発揮するのをハリス氏は手助けすることになるだろう。バイデン氏は副大統領としての8年間を通じ、最高指導者の経験を補完してバランスを保つことができるパートナーを持つ価値を理解している。何十年も上院議員を務めたバイデン氏の経験はオバマ前大統領にとって大きな資産となった。

  それと同じように、ハリス氏の場合も上院議員の経歴に加え、人種間の平等や刑事司法改革で発揮してきたリーダーシップが、バイデン政権が実現した場合に極めて貴重なものとなるだろう。カリフォルニア州司法長官として大所帯を率いたハリス氏は管理職としての手腕も政権にもたらす。

  民主党の大統領候補指名獲得のためのキャンペーンを通じ、ハリス氏が最高司令官になる準備があることを証明してみせた点も含め、同氏をバイデン氏が選んだ理由は数多くあるだろう。しかし、ハリス氏に注目が集まる中で、今回の選択がバイデン氏について何を明らかにするかを考えるのが重要だ。このキャンペーン期間中、両氏には意見の相違や不一致があったが、それらがバイデン氏がハリス氏を選ぶのを妨げることはなかった。

  実際、バイデン氏の人柄を知る私には、意見の相違がハリス氏を、バイデン氏にとって一層望ましい副大統領候補にしたと思われる。強力なチームづくりには、自分たちの考えを率直に語るのをためらわない人々を身近に配置するのが必要不可欠であるのをバイデン氏は分かっている。「あなたの考えは誤りだ」と、そうした人々が思っている場合は特にそうだ。

  バイデン氏がオバマ氏に対して行ったように、ハリス氏もバイデン氏のために忌憚(きたん)のない意見を述べる勇気がある。これは副大統領が果たすことができる役割の中でも最も重要なものかもしれない。この約4年間、実際は「裸の王様」であってもその事実を副大統領が否定して止(や)まない場合、何が起こるかをわれわれは目撃してきた。

  バイデン氏がハリス氏を選んだことは、バイデン氏が当選した場合にどんな大統領になるかについて良い兆候を示すものだ。能力を優先し、違った立場からの見解にも耳を傾けて尊重し、多様性を進んで受け入れ、強力なリーダーのいるチームをつくる大統領だ。われわれの置かれている異例の危機的状況を踏まえれば、ホワイトハウスにこうした価値を緊急に取り戻す必要性はかつてないほど高い。

(前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏はブルームバーグ・ニュースの親会社ブルームバーグ・エル・ピーの創業者で、過半数の株式を保有している)

原題:Biden’s Smart VP Pick Tells Us a Lot: Michael R. Bloomberg(抜粋)

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