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GPIF理事長:ユーロ圏債券市場を注視、米債一辺倒見直しも (訂正)

訂正済み
  • ユーロ圏も欧州復興基金を巡る合意を受けてまとまりが出てきた
  • 中国株、長期投資家として地政学的なトレンドを淡々とみていく

世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は保有残高の大幅な積み増しが必要な外国債券について、これまでの米国債重視だけでなく、ユーロ圏債への評価を高める可能性がある。宮園雅敬理事長が11日のインタビューで明らかにした。

  宮園理事長(67)は世界的な低金利で内外金利差が縮小してきたが「外債の方がまだキャリーが取れる」と指摘。「米国債だけではなく、ユーロ圏も欧州復興基金を巡る合意を受けてまとまりが出てきた。短期的な動きに終わるのか、ユーロ圏が再評価される流れになるのか注視していく」と述べた。債券の種類別では「国債だけではなくモーゲージ債や社債もあるので、リスクリターンをよくみて投資の洗練度を上げていく」と言う。

Government Pension Investment Fund President Masataka Miyazono Interview

GPIF宮園雅敬理事長 11日

Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg

  GPIFは今年度から為替ヘッジしない外債の構成比を従来比10ポイント高い25%とする一方、国内債券は円建ての短期資産や為替ヘッジ付き外債と合わせて25%へ引き下げる方針た。6月末時点での外債は年金積立金全体の21.81%にとどまり、単純計算でも5.2兆円強の残高積み増しが必要な状況だ。

  その外債に占める米国債の割合はブルームバーグがGPIFの公表資料を基に試算したところ、3月末時点で46.8%と、1年前の38.9%から上昇。一方、フランスやイタリアなどユーロ圏7カ国と英国の国債は合計27.6%と、2019年3月末の31.5%から低下していた。

  また、宮園理事長は今年度から国内債に算入される為替ヘッジ付き外債については「日本国債をどんどん減らしてシフトしていくといった一方向の機械的なオペレーションにはならない」と述べた。

中国株は静観

  市場では米中対立の激化が新型コロナウイルスとともに、株式などのリスク性資産に大きな影響を及ぼしかねないと懸念されている。中国政府は11月の米大統領選で対中強硬姿勢をとるトランプ大統領が敗れても、米中間の緊張関係は続くと予想している。

  宮園理事長は米中対立が激化する中での中国株投資について、「長期投資家として地政学的なトレンドを淡々とみていくことに尽きる」と、少なくとも当面は静観する構えだ。中国株の保有額は3月末時点で約1.6兆円だったと指摘。これは同時期の外株保有額37兆円超の4%強に相当する。

  GPIFの運用収益は新型コロナウイルス禍で1-3月期に過去最悪となった半面、4-6月期は最高となった。宮園理事長は「長期的な運用とはいえ、短期のオペレーションの積み重ねという面もある」とし、「市場のボラティリティが高いので平常時よりは難しい運用を迫られる」と指摘。それでも、乖離許容幅の一時的な拡大といった基本ポートフォリオの見直しを検討する状況では「全然ない」と語った。

  宮園氏は農林中央金庫で専務理事や副理事長を歴任した後、今年3月までの1年間は企業年金連合会の理事長を務めるなど、長年にわたり巨額の資産運用に携わってきた。運用担当理事兼最高投資責任者(CIO)は米ゴールドマン・サックス出身の植田栄治氏が務めている。宮園理事長は植田氏について、一緒に仕事をしてみて「抜群の働きだ」と評価。市場を見る目や職員のマネジメントを含め、「やはり適任だった」と述べた。

(4段落目のユーロ圏債券合計額を修正します)
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