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日本関連PE案件コロナ禍で減速、下期の見方には温度差-KKRなど

  • 4-6月のM&A案件は金額ベースで1-3月比半減の約1500億円
  • 7月以降は検討案件増えるが成約に結び付くかには慎重な見方も

プライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンドが関わる日本関連の企業の合併・買収(M&A)案件が、4ー6月に大きく減速したことが12日までに分かった。新型コロナウイルス禍で企業の様子見ムードが広がったことや、ファンドが既存投資先の経営支援を優先したことなどが要因とみられる。

  米ベイン・アンド・カンパニーによると、PEファンドの4ー6月の日本関連取引(1000万ドル以上)は金額ベースで前四半期(1ー3月)比56%減の13件、14億5200万ドル(約1530億円)だった。

  下期(7-12月)の展望について、ベイン東京在勤パートナーのジム・ヴェルベーテン氏は、PE案件は非常に変動性が大きいとしながらも、コロナ禍で3ー4月に幾つかの案件プロセスが遅れたり止まったりした影響が解消されるため、上期(1-6月)よりも上向くとの見通しを示した。

コロナ禍の影響大きく

PEファンドの日本関連取引件数が減少

出所:ベイン・アンド・カンパニー

注:1000万ドル以上の案件

  ブルームバーグのデータによると、上期の主な案件には1月に発表された米ベイン・キャピタルによる約850億円での昭和飛行機の買収、2月発表のポラリス・キャピタル・グループが支援した薬局チェーン総合メディカルホールディングスの経営陣による買収(MBO)、ベインが共同参画して現在実施中の介護大手ニチイ学館のMBOなどがある。

  4-6月の減速について、KKRジャパンの平野博文社長は、新型コロナ感染拡大を背景に企業側に「様子を見ようという風潮があった」と指摘。カーライル日本代表の山田和広氏は「2月から5月ごろにかけて、多くのPEファンドが既存投資先の支援を優先していた」とし、さらにコロナ禍で先行きが不透明だったため、ファンド側も新規案件には少し慎重だったと振り返った。

コロナ禍で存在感増す

  下期の見通しについては、業界内で温度差がある。KKRの平野氏は「コロナ禍が長引くのを所与として企業の選択と集中が活発化するだろう。案件は増えていく」とみる。

  カーライルの山田氏によると、コロナ下の新しい生活様式の定着で企業から新たな事業モデルを模索する相談が急増しており、パイプラインは「前年同期の約2倍」という。一方、ファンド側も事業の成長可能性をより慎重に見極めるため「検討案件は確実に増えるが、成約も増えるかは分からない」と慎重な見方も示した。

  欧州系ファンドCVCキャピタル・パートナーズの赤池敦史日本共同代表は、足元の業績不振を株価が織り込んでいないため、企業価値が割高に見えてしまうと指摘。売り手側が適正価格を見極めにくいことが一因となり、特に企業の事業売却は「間違いなく減る」とした。主力銀行の支援が手厚い日本では、非中核事業売却の圧力が欧米ほど強くないとも述べた。

  コロナ禍はPE業界にも影響を与えたが、好機でもあるようだ。カーライルの山田氏は日本企業はこれまでの延長線上にない消費者の価値観の変化の中で「資金だけでなく、われわれの持つグローバルな経験や情報を求めている。PEファンドの存在感は増している」と説明。

  KKRの平野氏は、コロナ禍でインドや中国の企業が劇的に事業ポートフォリオを入れ替えているのに比べると「日本企業の動きは必ずしも速くない」と指摘。「われわれが日本でカーブアウト(事業分離)案件をやりたいという方針は変わらず、企業経営者がどう動くのかを注視している」と述べた。

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