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「感染源になりたくない」、お盆帰省避ける動きー小池知事も呼び掛け

  • 帰省控えて、コロナに打ち勝つこと優先の特別な夏ー小池知事
  • 箸の上げ下げまで言うつもりはないー西村再生相

「自分が感染源になるのが嫌」。北海道で大学に通う高橋秋佳さん(19)は、お盆に予定していた宮城県への帰省を諦めた。実家に高齢の祖父がいることに加え、当初はお盆の時期に予定されていた成人式が4月の時点ですでに延期されていたことも決断を後押しした。

  新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、間もなくお盆休みを迎えるが、重症化しやすい高齢者が多く医療資源も限られている地方で感染を広めてしまう懸念から、帰省を見合わせる動きが広がっている。

  東京都の小池百合子知事は6日の会見で、今年の夏は新型コロナに打ち勝つことが最優先の「特別な夏」だとし、旅行や帰省を控えてほしいと訴えた。その上で、感染拡大を食い止めるため、今後状況が悪化した場合には独自の緊急事態宣言の発令も考えざるを得ないとの考えを改めて示した。

Bon Lantern Festival in Kyoto

お盆の夜を照らす東大谷万灯会(京都市・2018年)

Photographer: Mami Nagaoki/The Yomiuri Shimbun/AP Images

  積極的に自粛を要請した小池知事とは対照的に、政府は慎重姿勢を崩さない。新型コロナウイルス感染症対策分科会によるお盆の時期の帰省に関する提言を受けて、西村康稔経済再生担当相は5日、高齢者への感染につながらないよう注意を呼び掛けた上で、「箸の上げ下げまで言うつもりはない」と、一律には帰省の自粛を求めず個人の判断に委ねた。

  都内に住む佐々木惇さん(35)も宮城県への帰省を断念した1人だ。両親にはスマートフォン上でチャットアプリ「LINE」を通じて毎週、1歳10カ月になる長男の顔を見せているが「本当は直接会わせてあげたかった」と明かす。東京でも感染者が増えていることで「両親や近隣を心配させるのではないか」と周りへの配慮から帰省を断念した。 

  医療の専門家はお盆休みの帰省について、国内観光を促す「Go To トラベル」キャンペーン以上に警戒が必要だと指摘する。国際医療福祉大学の和田耕治教授は、帰省と観光では「リスクは全然違う」と述べた。ホテルに滞在する観光とは異なり、帰省先では高齢者を含む親族と触れ合う時間が長く、「お盆を境に高齢者にも感染が広がることもあり得る」とみている。

  感染の第一波で重症者用の病床が逼迫(ひっぱく)した経験もあり、一部の県では独自に外出の自粛や飲食店の休業を求める動きが出ている。

  愛知県は6日に緊急事態宣言を発令し、帰省の自粛を含めた不要不急の県境をまたいだ移動を控えるよう県民に求めた。沖縄県もお盆を含む期間の緊急事態宣言を発令し、高齢の親族と直接会う事は控え、電話や会員制交流サイト(SNS)、手紙などを通じてやりとりするよう呼び掛けた。

新幹線予約は84%減

Travelers at Tokyo Station Ahead of Obon-holiday Week

新幹線ホームの帰省客(7日・東京駅)

Photographer: Soichiro Koriyama/Bloomberg

  政府が7月22日から観光などの需要喚起を狙ってスタートした「Go To トラベル」キャンペーンでは、東京発着の旅行が除外されたものの、旅行代金の補助はお盆の期間も有効だ。しかし、JR東日本の広報担当、児玉章裕氏によると、8月4日時点で7日から17日までの新幹線の指定席予約は26万席と、前年と比べ84%減となっている。

  東京大学の坂元晴香特任研究員(国際保健政策学)は、政府が一律にお盆期間の帰省自粛を呼び掛ければ「航空会社や新幹線を運営する鉄道会社に大きなダメージを与えかねない」と述べた。JR東日本は先週、4-6月期の営業損益が1783億円の赤字と、同社として初めて四半期の営業損失を計上したと発表した。

  菅義偉官房長官は4日の記者会見で、新型コロナの感染リスクをゼロにするには「残念ながら時間がかかる」とした上で、「感染防止と社会経済活動を両立させていかなければ国民生活が立ち行かなくなる」との考えを改めて示した。世界各国も「悩みながら両立に取り組んでいる」と述べた。

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