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米中軍事衝突のリスクを投資家は過小評価、現金保有増やす-APS

  • 小規模な衝突でも市場はパニック、相場急落と想定-王国輝氏
  • 貿易不均衡是正なら、米中間の対立解消との見立ては間違い

世界で新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、投資家が対応を探る中で、シンガポールのヘッジファンド、APSアセット・マネジメント(畢盛資産管理)は新たな危機の可能性に備えている。米中の武力衝突だ。

  約25億ドル(約2650億円)相当を運用する同社の創業者で最高投資責任者(CIO)の王国輝氏は、11月の米大統領選を控え、比較的安全と見られる現金や、武力衝突などが生じた場合でもそれを乗り切ることができると想定される株式の保有を増やしていることを明らかにした。

  米中総領事館閉鎖の応酬は口火にすぎず、南シナ海で米軍が衝突の引き金を引き大統領選前の政治的威嚇がピークに達する可能性があると指摘。王氏によれば、投資家は2つの超大国間の緊張を過小評価している。新型コロナが世界経済に多大な影響を及ぼしているのもかかわらず、米S&P500種株価指数は年初来で上昇している。

  同氏は「何らかの形で軍事衝突があるとすれば、本格的な戦争ではなく、単発的で小規模な衝突だろう」とした上で、「それでも市場はパニックに陥り、相場は急落するだろう。われわれは過度に強気あるいは積極的なポートフォリオのポジションを組みたくない」と述べた。

  王氏のコメントは、米中対立が単に通商摩擦に基づくものではないという同氏の長年にわたるセオリーに沿ったものだ。中国のような新興の大国が台頭し、米国の覇権を脅かし衝突につながるとの「トゥキディデスのわな」に似た状況だと王氏は認識している。

  投資家が大きく誤解している1つは、貿易不均衡が是正されれば、米中間の対立が解消されるとの見立てだと王氏は指摘。このため同氏は中国での販売に大きく依存している米企業への投資を減らす一方で、酒造メーカーの貴州茅台酒やサイバーセキュリティーの啓明星辰信息技術集団などの中国銘柄を選好しているという。

  王氏のAPS中国A株ファンド(運用資産約4億ドル)は今年プラス29%のリターンと、中国本土株の指標CSI300指数の上昇率のほぼ倍。

  王氏は、中国が国内総生産(GDP)で米国に追い付くことができるとすれば、2025-29年になると予想。そうなれば米国は封じ込めから共存に対中戦略を変更する可能性があるとみている。「中国が軍事力あるいは経済力で後れを取っていると米国が感じている限り、米中対立は続く」というのが同氏の結論だ。

原題:Hedge Fund Boosts Cash on Growing Risk of U.S.-China Armed Clash(抜粋)

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