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8月円高は短命か、「3倍返し」の円売りが待ち構えると三菱モルガン

外国為替市場で円高が進みやすい8月となったが、ドル・円相場の1ドル=105円割れは定着しないと三菱UFJモルガン・スタンレー証券はみている。新型コロナウイルスの感染拡大による日本の貿易収支悪化などで潜在的な円売り需要は大きいという。

  ドル・円は先週、3月以来となる104円台前半まで下落した。植野大作チーフ為替ストラテジストは、貿易赤字や訪日客の蒸発によるサービス収支の赤字で「実需決済の収支尻だけ見てもドル買いが3倍ぐらいの力を持っている」と指摘。年金やFX(外国為替証拠金取引)も加えると、ドル安・円高が進むほど市場でのドル買い・円売りの興味は大きくなるとみる。

新型コロナ禍で

  月間騰落率を見ると、円は対ドルで8月に過去20年間で14回上昇し、直近では2017年から昨年まで3年連続上昇となっている。国内輸出企業によるお盆休み前の円買い予約や米国債の利払い・償還といった季節要因に加え、今年は欧州復興基金合意によるユーロ高加速やコロナ感染再拡大による米景気懸念からドルが売られやすい。ただ、実需に絡んだ需給バランスでは、円の売り手が多い構図が見えてくる。

  植野氏によると、日本の通関貿易を通貨別決済で見た場合、円決済の黒字が年間5兆円程度に落ち込む一方、ドル決済は15兆円を超える赤字で、「日本を取り巻く貿易の実需決済では、円需要の3倍以上のドル需要が発生している」。

  円高が進めば、世界的な株高で外債の保有比率がすでに下がっている国内の年金基金は、「どこかでリバランスの買いを入れなければならない」とし、個人投資家とともに「ドル・円が下がるのを待っている感はすごいある」と言う。

3月のドル・円急落時

  新型コロナの拡大などを背景に一時101円台まで円高が進んだ3月には、個人投資家の店頭FX取引を通じたドル・円の売買金額は721兆円と前月の2.6倍に急増した。植野氏は、当時105円割れが数日で終わったのはFXの強い買いが入ったためで、「ドル・円が下がれば季節に関係なく染み出てくるドルの買い手は多い」と指摘。「テクニカル的には3月安値までサポートがないため、102円ぐらいまではあるかもしれないが、最終的には105円へ戻ってくる」とみている。

 

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