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Photographer: Billy H.C. Kwok/Bloomberg
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香港去る金融界の人々、再就職厳しい最悪のタイミングでも覚悟し決断

  • 苦労して得た技能も言語能力も人脈も、持っていけるとは限らない
  • 人気の移住先のカナダや豪州、英国の税金は香港の3倍
Residential and commercial buildings are seen from Victoria Peak in Hong Kong, China, on Monday, Sept. 11, 2017. Hong Kong stocks fluctuated on Sept. 12 as automakers extended gains driven by China\'s plan to phase out fossil-fuel vehicles, while banks and property companies weighed on the benchmark index.
Photographer: Billy H.C. Kwok/Bloomberg

香港を去るべきか、とどまるべきか-。数年間悩んだ末にリー氏はカナダに移ることを決めた。転職先の当てはなく税金も高くなるし、気候も厳しいが、とにかく決断した。

  彼女は今、世界的な大手金融機関でコンプライアンス(法令順守)を担当している。「カナダでの職について心配しているかと問われれば、もちろんそうだ。景気は悪く企業は従業員の頭数も凍結している。移住するのに恐らく最悪のタイミングだ」と言う。

Protesters Mark One Year Anniversary of Yuen Long Station Attack

抗議活動中に市中を見回る警官たち(7月21日)

フォトグラファー:Lam Yik / Bloomberg

  中国が香港国家安全維持法(国安法)を制定し香港への締め付けを強める中で、脱出を考える住民はある程度の犠牲を払う覚悟が必要だ。世界経済がここ100年ほどで最悪のリセッション(景気後退)に見舞われている中で職を見つけるのが難しいばかりか、各国は入国制限を強めている。苦労して得た技能も言語能力も人脈も、持っていけるとは限らない。しかも、人気の移住先のカナダやオーストラリア、英国の税金は香港の3倍だ。

  ロバート・ウォルターズで中国南部と香港の金融業界の人材紹介を担当するジョン・ムラリー氏は「香港である職に就いて成功していたからといって、他の国・地域でそのスキルや経験が求められているとは限らない。新しい国へ行って職を得ようとするには恐らくわれわれの生きている時代で最悪の時期だろう」と述べた。

Tax Hit

Hongkongers face higher rates abroad

Source: Bloomberg

Note: Canada rate includes Ontario provincial tax

  それでも、リー氏のような人は後を絶たない。同氏は既にトロントで住宅を購入し、年収100万香港ドル(約1360万円)の職を捨てて10月に移り住むつもりだ。30代の同氏と夫は、事態が悪くなった時に備え2014年に査証(ビザ)を申請していたが、国安法施行でついに恐れていた事態が訪れたと判断した。

  「香港政府に対する期待を全て失った」と言うリー氏は、香港が言論の自由が制限されテレビ番組が検閲される中国の1都市になってしまうと考えている。「もうここにいたくない」と話す。

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  新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の中で移住のリスクは高いが、香港脱出の需要は増えている。ムラリー氏によれば、2年前には約80%の求職者が香港での職を探していたが、今はほぼ半数が海外での職を求めているという。

  しかしカナダの失業率は2桁台、豪州もそれに近い。世界的な投資銀行のシニアバンカーであるサム氏もまた、職探しは容易ではないだろうと覚悟の上だ。それでも、妻と2人の子どもを連れて3カ月後に豪州に移住する計画だ。

Abandoned Stores

Hong Kong sees vacancy rates climb across shopping districts

Source: Cushman & Wakefield Research

原題:Bankers Leaving Hong Kong Face Grim Job Markets and Higher Taxes(抜粋)

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