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韓国、精鋭チームの迅速対応でコロナ感染爆発封じ込め

  • ナイトクラブから物流センターに広がった感染を短期間で抑え込む
  • プライバシーの観点から多くの西側諸国では受け入れ難い手法も

韓国の保健当局は、5月に首都ソウルのナイトクラブで新型コロナウイルスの集団感染が発生した際、疫学者やデータベース専門家、検査技師から成る精鋭チームを迅速に投入して対応した。

  ナイトクラブの訪問客から塾生徒、タクシー運転手などを経て4000人が働く物流センターの従業員へと感染していった経路を突き止め、この従業員の同僚や家族などと連絡を取り、9000人に検査を受けさせた。2週間後には物流センターの集団感染はほぼ封じ込められ、感染件数は152件に抑えられた。

Covid-19 Testing Safety Booth at Seoul's H Plus Yangji Hospital Hospital

韓国ソウルのH+ヤンジ病院(7月24日)

フォトグラファー:チョン・ソンジュン/ブルームバーグ

  韓国の1日の新規感染件数は2月のピーク時に800件を超え、その後もゼロになったことはないが、この2カ月間は30-60件程度で推移している。これに対し、米カリフォルニア州ロサンゼルス郡では先週23日だけで2014件の新規感染が報告された。

  他国で実施された厳しいロックダウン(都市封鎖)とは異なり、韓国は危険なホットスポットにきめ細かく照準を定め、他の地域の人々の生活やビジネス活動には大きな制限をかけない戦略をとってきた。

  コロナ感染が最近再拡大している国々では感染経路が特定できないケースの割合が50%を超えているのに対し、韓国では8%程度にとどまっている。

Managing Covid-19 in South Korea

Flare-ups have moderated since church outbreak in February

South Korea's Centers for Disease Control and Prevention

  韓国疾病管理本部の元本部長で現在は翰林大学メディカルセンターの教授を務めるチョン・ギソク氏は、「韓国によるコロナウイルス対応の大きな強みは、全ての患者について徹底的な疫学調査を行える能力にある」と説明。「感染の爆発的拡大の規模を抑え、新たな感染も阻止できるため、疫学調査はかつてないほど重要になっている」と語った。

  こうした徹底的かつ細心の追跡調査の戦略が功を奏し、ソウルの梨泰院(イテウォン)地区のナイトクラブから物流センターにまで広がった感染を追跡することに成功したと、 疾病管理本部の副科学ディレクター、クウォン・ドンヒョク氏は指摘した。

  ナイトクラブを訪れた塾講師から生徒1人に感染。同生徒が利用したカラオケルームの隣の部屋で歌っていたタクシー運転手も感染。この運転手はパートタイムのカメラマンで、物流センターのある地域のビュフェ形式レストランで開かれた誕生日パーティーで写真を撮っていた。監視カメラの映像や携帯電話記録を通じ、当局はこのパーティーが開かれたころにレストランにいた人全員と連絡が取れた。レストランで感染した人には、物流センターで働いていた女性1人が含まれた。

Itaewon flareup

ソウルの梨泰院地区で消毒活動する作業員(5月11日)

フォトグラファー:チョン・ソンジュン/ブルームバーグ

  人口約5100万人の韓国で使われているこれら手法の一部は、人口が非常に多い新興国では困難とみられる。また、韓国で用いられている監視技術は、多くの西側諸国の市民にとっては受け入れ難いものかもしれない。

  感染の疑いのある人の追跡は、何百時間にも及ぶ監視カメラ映像のチェックや、携帯電話の記録、クレジットカード取引の調査を伴う。韓国ではほぼ全ての街路や職場に監視カメラが設置されている。

  疾病管理本部のチョン元本部長は、「韓国は他国と比べて感染の絶対数が小さかったが、より重要なのは、人々が幅広い公共の利益のためにはプライバシー侵害もやむを得ないと考える社会通念があり、包括的な調査を可能としていることだ。これは西側諸国では想像できないだろう」と述べた。

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原題:
These Elite Contact Tracers Show the World How to Beat Covid-19(抜粋)

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