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ウォール街の孤独なトレーダー、人のいないオフィスで働き続ける

マイケル・ベス氏は新型コロナウイルス感染拡大で米国民の多くが在宅勤務に切り替えた後も、オフィスで働き続けた。エレベーターの中も1人、デスクの前に座っているのも1人、昼食を取るのも1人だ。

  ウォーラックベス・キャピタルに勤める同氏は、ハドソン川沿いのガラス張りのオフィスビルで、ほとんど1人で働き続けた。

  ニューヨークの金融業界には少数ながら、同氏のようにオフィス勤務を続けた人がいる。彼らは数カ月間、電話も鳴らず、暗くなった画面と空っぽの椅子が並ぶ現実離れしたオフィスで過ごした。あまりの静かさに落ち着かなくなったと言う人もいる。一方、おせっかいな同僚がいないオフィスで仕事の効率が上がったという声もあった。

  金融機関が従業員をオフィスに呼び戻すに伴い、まもなくオフィスには人が増え始める。新型コロナ時代のオフィスライフは新段階に入り、新たなストレスやリスクが生じるだろう。

Lonely workers of Wall Street

マイケル・ベス氏

写真家:Christopher Occhicone / Bloomberg

  この4カ月はどうだったかとの問いに、ベス氏(29)は通常ならラッシュアワーとなる時間帯に空っぽの駐車場で答えた。

  ポロシャツに短パン、スニーカーというカジュアルな服装の同氏は「疲れた。行っても誰もいないこと、自分の仕事のほかに、オフィスを使えるようにするための雑用をしなければならないことが分かっていて毎日来るのは負担だ。クレイジーだった」と語った。

  ニューヨークの経済再開に伴い数万人のオフィスワーカーが再び、新しい生活に慣れなければならない。利点も欠点も含めて在宅勤務がより恒久的に働き方の一部になると考える人もいる。家族や子供に煩わされることなく慣れたリズムで働けるオフィスに戻るのを歓迎する人もいるだろう。そしてはるかに大勢が、通勤やエレベーター、オフィスの換気など、数カ月前には気にもかけていなかったようなことについてあれこれ悩むだろう。

  いずれにせよ、ニューヨーク市とその周辺の光り輝く超高層ビルの中での生活が、かつてと全く同じになることは決してないのだけは確かだ。

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ウォーラックベスの無人のオフィス

Source: Michael Beth

  もちろん、新型コロナ流行中にオフィスに行き続けたのはベス氏だけではない。勤め先企業が過去最高の業績をたたき出すのに貢献した大手銀のトレーダーもいる。ただ、ブルームバーグの取材に対してほぼ全員が、通勤が最大の不安材料だったと話した。自転車や徒歩での通勤に切り替えた人もいる。

  コーナーストーン・キャピタルの創業者で最高経営責任者(CEO)のエリカ・カープ氏は3月から5月後半まで、アッパーイーストサイドの自宅からミッドタウンのオフィスまで徒歩で通勤した。マスクをして自家製ランチを持参し、エレベーターのボタンを押すためにティッシュペーパーをバッグに入れていた。

  同氏は結局、5月下旬にニューヨークを離れブリッジハンプトンに移ったが、今はニューヨークの経済再開の動きを用心深く見守っている。元に戻るには人々が考えているよりも時間がかかるとみている。

  「ヘアサロンやレストランに行こうとは思わない。通常通りであるかのように振る舞う気にはなれない。通常ではないのだから」と同氏は述べた。

NYSE Reopens Trading Floor To Some Market Makers As U.S. Stocks Cling To Gains

ニューヨーク証券取引所

Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

原題:Wall Street’s Loneliest Traders Who Never Went Home: NYC Reopens(抜粋)

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