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みずほが外債発行でマイノリティー企業採用、人種問題対応–邦銀初

更新日時
  • 米国で経験豊富なD&I統括責任者を7月に採用、取り組み本格化へ
  • 投資家層の裾野広がる、コスト不利でも無理する意義あり-専門家

みずほフィナンシャルグループは米ドル建て債の発行にあたり、引受会社としてアフリカ系米国人など、いわゆる「マイノリティー」が経営する金融機関を採用した。米国で人種差別問題への対応が問われる中、ダイバーシティー(多様性)実現に向けた取り組みを対外的にも打ち出した。

  10日に発行したのは、みずほ銀行の一般運転資金に充てることを目的とした3本立ての総損失吸収能力(TLAC)適格債で、発行総額は25億ドル(約2700億円)。米証券取引所への提出資料によると、引受会社に仏クレディ・アグリコルなどの大手と共に、アフリカ系米国人や障がいを持った退役傷痍(しょうい)軍人など社会的マイノリティーが経営する6社を採用した。

  人種差別への反対姿勢を対外的に示すと同時に、従来とは違った投資家層にアプローチすることで調達の裾野を広げる。みずほFGによると、引受会社にマイノリティー経営企業を採用する債券発行は邦銀では初めて。

採用した企業経営者
CastleOak Securities, L.P.アフリカ系米国人
Loop Capital Marketsアフリカ系米国人
Mischler Financial Group, Inc.傷痍軍人
R. Seelaus & Co., LLC女性
Ramirez & Co., Inc.ラテン系
Siebert Williams Shank女性のアフリカ系米国人

  米国では5月に発生した白人警官による黒人男性ジョージ・フロイドさんの暴行死事件をきっかけに人種差別への抗議運動が広がり、企業の間でも差別解消に向けて商品名の変更や調達先の切り替えを行う動きが拡大した。

  BNPパリバ証券の中空麻奈チーフESGストラテジストは、米国の人種差別問題を受けて、マイノリティーに意識を払った経営は「マストになっている」と指摘。「長期投資家の目線に合わせて、人種差別をなくす取り組みを示せない経営は選ばれなくなってくる」と述べた。

Protest over the death of George Floyd in New York

フロイドさんの死に抗議する人々(ニューヨーク市マンハッタン、6月2日)

  みずほFGの広報担当者は、今回の債券発行について「みずほのダイバーシティー・アンド・インクルージョン(D&I)の一環として実施したもので、金融機関として果たすべき役割を担っていく」とコメントした。

  みずほFGは、国内の女性管理職比率を2019年の14%から24年に20%に増やし、グローバルでの外国人管理職比率65%を維持する目標などを掲げD&Iに取り組んでいる。7月には米国でD&Iを統括する責任者として、ニューヨーク連邦準備銀行でダイバーシティー・オフィサーを務めるなど同分野で豊富な経験を持つロナルド・テイラー氏を採用した。

無理する意義は大きい

  環境問題解決を目的とした環境債(グリーンボンド)や社会的問題解決に資する社会貢献債(ソーシャルボンド)などを含むESG債市場は14年ごろから急速に拡大してきた。毎年の発行額のうち8ー9割を環境債が占める。

ESG債券の発行は2014年ごろから急増

環境債、社会貢献債が伸長ーグローバル推移

出所:ブルームバーグ

環境債、社会貢献債、サステナビリティー債の合計。2020年の数字は7月時点

  一方、新型コロナウイルスの感染が拡大した20年は、感染症対策を支援するため企業や社会、ワクチンを対象とした「パンデミック債」の発行が急増。7月21日時点の累計で約3044億ドル相当が発行された。BNPパリバの中空氏は、コロナの影響で仕事を失う人々にはマイノリティーに属する人も多く、焦点を当てる投資家は増えるとみている。

  ただ、合理性を好む市場では低コスト運営の大手証券会社に効率性で劣り急拡大するわけではないと中空氏は指摘。それでも、マイノリティー企業は従来と違った投資家層にアプローチできる可能性も高く、「今は無理をしての採用かもしれないが、無理をしてでも裾野を広げる意義は大きい」と述べた。 

  今回の発行にあたっては、みずほ証券とJPモルガンなど4社が主幹事を務め、その他マイノリティー経営6社を含めた20社が参加した。

(最終段落を追加します)
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