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きょうGoTo開始、「後出し」の東京対象外に困惑ー差別との指摘も

  • 「正直、詐欺に遭ったと思っている」と、利用者から不満の声
  • 公平ではないキャンペーンへの参加を見送る宿泊施設も

22日から始まる新型コロナウイルスの影響で大きく落ち込んだ観光などの需要喚起策「GoTo トラベル」キャンペーンでは、開始1週間前に東京発着の旅行が除外されたため、すでに旅行を予約した消費者や対応する事業者の間では困惑が広がっている。

Haneda Airport As Japan’s Airlines Seen Joining Global Carriers With Huge Losses

羽田空港(2020年4月)

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  都内に住む福井健人さん(42)は、電話でキャンペーン対象であることを確認した上で、8月の家族での石垣島旅行を予約した。しかし、東京発着の旅行が突然に対象外となったことで「正直、詐欺に遭ったと思っている」と受け止めているという。当初は約30万円の費用のうち10万円程度の還付を見込んでいた。政府が「後出し」で都民を対象外としたことに憤りを感じており、「国はまだ決まってないのに商品を先に売らせていたのが間違い」との不満を明かす。

  政府は観光先進国となることを目指して、近年積極的に外国人観光客の受け入れに取り組んできたが、新型コロナの影響で訪日旅客数は激減し、観光業が大きな打撃を受けている。観光庁によると、2019年の訪日外国人旅行消費額は4兆8135億円だった。しかし、日本政府観光局の統計によると、訪日外客数は直近の6月分まで3カ月連続で前年同月比99.9%減少している。

  こうした中、政府は観光業の収入減少を補うために国内の需要喚起を図っているが、都内の新型コロナ感染者が先週、最多記録を連日で更新。政府は東京都が目的地となっている旅行のほか、都内に住む人の旅行をキャンペーンの対象外とすることとした。

損害賠償

  福井さんの家族は緊急事態宣言中にも外出を自粛し、ソフトウエアのエンジニアである福井さん自身もずっと在宅勤務を続けている。その分、旅行への期待が大きく膨らんでいた。8歳の長男は時折家の中で浮輪をはめて石垣島が楽しみだとはしゃいでいることから、キャンペーン対象外となったことには納得がいかないながらも、このまま旅行には行く予定だという。

  都民を対象から外したことについて、元衆議院議員で弁護士の若狭勝氏は電話取材で、「キャンペーンに応募して、後出しじゃんけんのように後からダメだと言うのは、損害賠償の対象になり得る」と指摘。感染状況によってはキャンペーン内容に変更の可能性があると事前に十分に注意を喚起していない場合、注意義務違反の可能性があると述べた。

  政府は方針転換によって発生するキャンセル料について当初補償しないと表明していたが、批判が相次いだため方針を転換した。赤羽一嘉国土交通相は21日、閣議後の記者会見でキャンセル料を補償する方針を正式に発表した。

  方針転換の困惑は受け入れ事業者側にも現れている。「東京ディズニーランドホテル」(千葉県浦安市)などを運営するミリアルリゾートホテルズ広報担当の内堀賀之氏は同キャンペーンへの対応については詳細が決まり次第検討するとコメント。キャンペーン開始を2日後に控えた20日時点では、同社運営のホテルが対象となるかは未定で、観光庁から事業者登録の方法などの説明はまだ受けていないという。

  キャンペーンによる観光業の活性化を期待する声もある。大分県の広瀬勝貞知事は、苦労を強いられている観光関連産業の活性化を「大いに期待している」とコメント。その上で、都民については「対象外となったが、本県としてはしばらく待っていただくという思い」だと述べた。

東京差別

  中国では、最初に感染が拡大した湖北省・武漢市でロックダウン(都市閉鎖)が解除された後も、武漢市民に対する差別が続いた。武漢市からの出稼ぎ労働者を受け入れない企業や、武漢市から来たというだけで他の地域で14日間の隔離を求められるケースなどが問題となった。

  国内でもツイッター上で一時「東京差別」というハッシュタグがはやり、石垣島への旅行を決めた福井さんも都内から向かうため、現地で特別な扱いを受けることはないか念のため宿泊先に電話で確認した。東京の人だけを特別扱いすることはないと伝えられたという。

  若狭弁護士は、東京都民の旅行自体を制限せずに補助金を使った割引だけ対象外とすることは「憲法14条の平等原則に反する恐れある」と指摘。合理的な理由がなく「東京都民というだけで差別」するのは問題があると話した。

  東京都の小池百合子知事は21日、都民に対して23日からの4連休については「不要不急の外出はできるだけ控えてほしいと呼び掛けることを考えている」と記者団に述べた。

  宿泊施設の中には、公平性を保つためにあえてキャンペーンに参加しないことを決めた所もある。三重県伊勢市の「宿屋伊勢ピット」は、東京からの利用者が3分の1を占める。同施設を運営する長田圭介氏は、東京が除外されたという「フラットではない状態」でキャンペーンに参加していいものかということを疑問視し、参加を見送った。今後キャンペーンが公平に適用されることになれば参加を申請する可能性はあると話した。

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