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テスラも認める技術、神奈川の黒子企業が電動化で巨大企業に挑む

更新日時
  • モーター用巻線設備開発の小田原エンジニアリングはテスラにも供給
  • 市場の急拡大で欧州同業は大手が買収-ABBグループなどと競合
テスラのクロスオーバーEV「モデルY」(19年3月)

テスラのクロスオーバーEV「モデルY」(19年3月)

Photographer: Patrick T. Fallon/Bloomberg
テスラのクロスオーバーEV「モデルY」(19年3月)
Photographer: Patrick T. Fallon/Bloomberg

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テスラなど世界の名だたる自動車会社を陰で支える企業が神奈川県西部の山に囲まれた小さな町にある。

  神奈川県松田町に本社を置く小田原エンジニアリングが手掛けるのはモーター用の巻線機。モーターは電気自動車(EV)やハイブリッド車のほか、家電製品や発電機といった産業機械など幅広い用途で使われており、その性能は巻線によって大きく左右される。

  自動車の世界では電動化の流れで内燃機関からモーターによる駆動への移行が進み、巻線技術の重要性が高まっていることを背景に、過去数年の間に欧州では同業の中小企業の多くは大手に買収された。そのため、小田原エンジニアリングの競合相手は今やスイスのABBグループや独ティッセンクルップなどの巨大企業に様変わりしたという。

  小田原エンジニアリングの保科雅彦副社長はブルームバーグとのオンラインインタビューで、「草野球チームでしていたのが急にメジャーリーグになってしまった」と語った。

  モーター用巻線設備の市場規模は急速に拡大している。小田原エンジニアリングによると、2017年の同設備の市場規模はわずか約400億円の「ニッチな分野」だった。車の電動化の流れと共に同市場は拡大し、保科氏は「あっという間に3倍とか4倍とか5倍となって、今、実はどのくらい大きくなっているのかわれわれも把握できない」と語った。

  しかし、市場の成長に合わせて会社の規模を急速に拡大していくつもりはないという。受注生産で巻線設備を開発する同社にとって、「自分たちの力で確実にできる範囲にとどめておかないと、結果的にお客さんに迷惑をかけてしまう」と保科氏は述べた。

  同社はほとんどの顧客と秘密保持契約(NDA)を結んでおり、小田原エンジニアリングの設備を使っている顧客企業は外部からはほとんどうかがい知ることができない。保科氏によると、同社が開発する巻線機は数年先に発売される車向けのものが多く、「引き合いの段階でNDAなので、注文を取ったとか取らないとか、話があったことすらできない」という。

  そんな同社が唯一開示しているのが、今や時価総額でトヨタ自動車を超えて自動車メーカーで世界一となった米国のEVメーカー、テスラだ。小田原エンジニアリングの17年度と18年度の売上高の10%以上をテスラが占めていたため、日本の法律上、有価証券報告書で開示せざるを得なかったという。

  テスラは今月初旬、トヨタを抜いて、時価総額で世界最大の自動車メーカーとなった。株価はその後も上昇を続け、年初から3倍以上の水準まで急騰しているが、市場にはさらなる上昇余地があるとの見方もある。

  保科氏は小田原エンジニアリングの巻線機の受注残高は昨年12月末よりも増加しており、「仕事としてはいっぱいある」とした上で、「現時点では売り上げとか利益の修正を出すところまではいっていない」と語った。今後も「車の電動化だけは進んでいく」として、電動化に欠かせない巻線設備への需要は底堅いとの見方を示した。

  小田原エンジニアリングの株価は20日、ストップ高となる前営業日比21%高の2300円で取引を終えた。

(小田原エンジニアリングの株価情報を追加して更新します)
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