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【コラム】バイデン氏は気候問題を正しく理解-M・ブルームバーグ

新型コロナウイルスが経済に与える打撃に対応すべく各国・地域政府が巨額の支出を準備している中、世界にはクリーンエネルギーやグリーンインフラに投資することで気候変動に大きな歯止めを掛ける空前のチャンスが訪れている。米大統領選の民主党候補に指名される人物は今週、それを理解していることを示した。

  ジョー・バイデン前副大統領は、気候変動との闘いに向けた野心を多いに強めている。バイデン氏は昨年、2050年までに電力部門の温室効果ガス排出をゼロとする目標を掲げた。今では、その目標は35年までに達成可能だと認識している。今月13日に行った資金集め集会では「2050年と言えば大部分の人の頭の中では今から100万年後だ。私の計画は今、この10年間、20年代に行動を起こすことに重点を置いている」と語った

  ワシントンでは気候変動対策が何年も放置されてきた。対策を急ぐ必要性はかつてないほど高まっており、バイデン氏が自身のスケジュールを加速させることは正しい。同氏は大統領選の公約として、4年間で2兆ドル(約214兆円)のクリーンエネルギー投資を掲げた。

  それは電力だけでなく、交通機関や建物、住宅、その他の分野での排出量削減に向けて米国を強く後押しするものだ。雇用やもっと清浄な空気や水を、それらを最も必要としている地域社会にもたらす方法で行う。こうした取り組みは、米国が気候保全に向けて有意義な進展を遂げるのを確実にするだろう。その過程では、米国民が新型コロナによるリセッション(景気後退)から一段と力強くなって抜け出すのに必要な景気刺激と雇用が提供されることになろう。

  バイデン氏はクリーンエネルギー投資で多くの構想を持っている。エネルギー供給網の改善のほか、バッテリーや先進的原子炉などの技術の研究加速、太陽光発電や風力発電への補助金拡充などだ。全て数十年続くグリーンな成長の基礎を築くのにつながる良いアイデアだ。

  それと並行して同氏は、自動車業界には電気自動車開発のインセンティブを与え、環境を汚染する多くの建物の改修に補助金を出し、使われていない石油・ガス井を埋め、気候に優しい農業を促進し、排出ゼロの公共交通機関と都市間鉄道に投資するだろう。いずれも雇用を創出する取り組みとなる。フランクリン・ルーズベルト大統領の市民保全部隊(CCC)になぞらえ、森林を山火事に強くすることなどを担う気候保全部隊(CCC)も創設するだろう。

  環境汚染が低所得の黒人やラテン系のコミュニティーに最も重い負担を長く強いてきたことを踏まえ、バイデン氏は支出の40%を貧困地域に振り向けることを提案している。サービスが行き届いていない地域の交通網改善、持続可能な住宅の建設、住宅のエネルギー効率改善、「放置された汚染」の浄化、鉛の水道管の交換など、数十年に及ぶ不作為を覆す多様な投資が行われるだろう。

  バイデン氏が多くの建設的な政策を1つの大きな計画にまとめたことは称賛に値する。これこそグリーン・ニューディールだと考える人さえいるかもしれない。しかし、名前は大事ではない。重要なのは、それを成し遂げることだ。そしてそれは、あらゆる機会を利用して排出量削減の進展を邪魔してきた現政権を倒すことから始まる。また、気候変動との闘いの緊急性に加えて、われわれの目の前に空前のチャンスが訪れている事実を理解する議会を有権者が選ぶことも助けになるだろう。

(前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏はブルームバーグ・ニュースの親会社ブルームバーグ・エル・ピーの創業者で、過半数の株式を保有している)

原題:
Biden Shows He Gets It on Clean Energy: Michael R. Bloomberg(抜粋)

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