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日本のESG投資活性化、企業の情報開示充実など重要-日銀論文

  • 欧米対比で取り組みに遅れ、国際競争力の観点からも重要
  • 機関投資家、投資手法洗練や企業とのコミュニケーション強化を

日本銀行は16日、気候変動リスクの高まりとともに世界的に拡大しているESG(環境・社会・企業統治)投資に関し、国際競争力の確保や市場の機能向上・活性化の観点からも、日本企業の情報開示の充実など「日本の機関投資家および企業の双方が、ESG要素などの非財務情報に関する理解を一層深めていくことが重要」とした論文を公表した。

  論文では、ESG投資が世界的に拡大している背景について「国際世論を巻き込んだ気候変動リスクへの関心の高まりや受託者責任などの法制度面からの後押し、さらには、ESG投資手法・投資商品の広がり」などを挙げ、特に「気候変動リスクが顕現する場面が頻繁にみられるなかで、同リスクへの関心が世界的に高まっている」としている。

  ESGへの取り組みで先行している欧州では、年金などが「運用資産の一定割合をESG投資に振り向けなければならない環境にあると言われている」とし、法制度面からも上場企業や機関投資家などに対して情報開示が求められているという。

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  欧米に比べて取り組みが遅れている日本でも、コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードの策定を皮切りにESG投資推進の環境整備が着実に進められているが、日本の機関投資家は「欧米対比ESG投資の経験・歴史が浅いこともあり、投資を行う目的意識が区々であるといった指摘が多く聞かれている」としている。

  具体的には、ESG投資に利用可能な情報が限られていることなどが指摘されており、日本の企業の情報開示は「企業規模対比でみても世界と比べて見劣りする」との声を紹介。1960年代の公害問題に対応してきた教訓から、環境意識は高いものの、「企業からの情報発信の対象としては主に規制当局が念頭」に置かれており、情報発信の対象が投資家に変わる中で「新たな情報開示のニーズへの対応に戸惑っている企業が多く、結果的に情報開示量の少なさにつながっていると指摘されている」という。

  こうした情報開示量の少なさも、「ESG格付け機関や海外のESG投資家から十分に評価されにくくなっている原因の一つと指摘されている」とし、日本企業に対して「海外投資家等の情報開示ニーズや開示コストも意識した上で、ESG要素の情報開示の内容・量両面からの充実について、戦略的に対応することが求められる」としている。

  今後、気候変動リスクが一部の業種・銘柄の株価に及ぼす影響は一段と増していく可能性を指摘し、日本の機関投資家に対しても、「金銭的リターン向上なども含めた自らのESG投資方針に沿って、真に重要な非財務情報は何かという中長期的な視点から、ESG投資手法の洗練や企業側とのコミュニケーション強化に取り組むことが肝要と考えられる」と対応を促している。

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