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強気の中国が世界に迫る外交戦略見直し-欧米やインドにジレンマ

  • 中国は国内外で強引に主張を押し通せるようになったと考えている
  • 中国が身を引くことはないだろうとシンクタンク研究員

中国との関係を表現するには、さまざまな言葉が必要だ。関与、封じ込め、対立、そしてそれらを組み合わせた造語もある。こうした多様な言葉は、もはや単純に「新興国」とは呼べない中国と向き合う各国政府のジレンマを映し出している。

  習近平国家主席が率いる中国指導部は、今や自分たちが国内外で強引に主張を押し通せるほど強くなったと考えている。どんな報復や制裁にも耐えることができる場所にまで到達したと自認しているのだ。

  中国はこのところ、世界的な反発にもかかわらず香港国家安全維持法を施行し、インドとは係争地帯で死者を出す軍事衝突を起こし、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の時期に挑戦的な外交を展開している。これらはいずれも、欧米の政策が中国の動きを遅くしたり、止めたりできていないことを示す最新の例にすぎない。

Views of Beijing as the CPPCC Opens

習近平国家主席のポスターの前を歩く人民解放軍当局者(5月21日、北京)

撮影:ブルームバーグ/ブルームバーグ


  米国が「米国第一主義」の姿勢を鮮明にし、共通の価値観に根差した多国間の枠組みが弱体化するのに伴い、各国は対中姿勢を見直す必要性をますます認識するようになっている。

  今のところ、対中戦略は大きく分けて2つの陣営に分かれる。1つは、中国を国際的なルールや制度に引き込むことで、同国の態度が改善するのを願うというもの。もう1つは、経済的もしくは軍事的圧力で中国の動きを止めようとするものだ。

新しい興味深い方法

  複数の国の当局者は、中国に対処するための唯一の解決策は、米国の存在の有無にかかわらず結束を強めることだと話す。オーストラリアやカナダ、インド、英国などは新しくかつ興味深い方法でそれを始めつつある。これらの国々は、中国への経済的依存と中国の行動に関する戦略的懸念とのバランスを取るのに長い間苦労してきた。

  米国は遅まきながら、一部で関係修復に動いている。トランプ政権の高官1人と駐中国の欧米上級外交官2人によると、米外交官はアジアなどで同盟国の再結集を模索している。その一環として、サプライチェーンからの離脱を通じた中国への経済依存低減と、先端技術や製造業への国内投資の活発化を図ることを求めている。

  英豪とカナダの3カ国は最近、米国と共に中国政府による香港統制強化を非難する共同声明を出した。ある欧米外交官は、より団結した対中姿勢を「ニューノーマル」と表現した。インドは国境地帯での中国との衝突後、日米両国と毎年行っている海上軍事演習「マラバル」にオーストラリアを招く計画を明らかにした。4カ国の安全保障面での協力進展を示すものだ。

Boycott of Chinese Products Protest Organised By The Confederation of All India Traders

中国製品ボイコットを呼び掛けるデモで使われた習氏の写真(6月22日、ニューデリー)

撮影:T. Narayan / Bloomberg

  ただ、そうした協力は簡単にはいかないだろう。ある米当局者によると、トランプ氏周辺の対中タカ派の一部は依然として旧ソ連型の中国共産党崩壊を目指している。それは他国の支持は得られないアプローチだという。

  またアフリカから東南アジアに至るまで、トランプ政権や米投資家がほとんど相手にしないような地域での中国の経済外交は、同国との結び付きを捨て難いものにしている。

橋渡し役は不在

  ある意味、トランプ氏のアプローチが悪循環を生み出している。ある米当局者は、双方を困窮させるような報復合戦の破滅のループに米中が陥っているのではないかと危惧する声も一部にあると述べた。ゴールドマン・サックスの最高経営責任者(CEO)だったポールソン元財務長官のような信頼できる米中の橋渡し役はもういない。

China's Built A Railroad To Nowhere In Kenya

ケニア市内の鉄道プロジェクト本部に設置された中国交通建設の看板の前を歩く男性

撮影:ルイス・タト/ブルームバーグ

  投資会社ハオ・キャピタルの創業者で元外交官のチャールズ・リュー氏は、世界の製造業における中国の役割と欧米の既得権益により、トランプ氏が中国との完全なデカップリング(切り離し)を説得力を持って主張するのが難しくなっていると語った。

  中国外務省傘下のシンクタンク、中国国際問題研究院(CIIS)の上級研究員、瀋世順氏は、「米国は中国の台頭に精神的な準備ができていなかったので、中国に対して問題を起こして台頭を制限する方法を探してきた」と指摘。「米国が中国の玄関先で問題を作り出している以上、中国は当然そこから身を引くことはないだろう」と述べた。

原題:
China Is Forcing the World to Find New Ways to Deal With It(抜粋)

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