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冷血な株式市場の理論-強気相場と失業の関係、費用減で利益増の発想

  • 一部の市場理論は実体経済の傷みに無頓着にも聞こえる
  • 格差拡大と株主重視のモデル-コロナや人種差別抗議行動の中で注目

新型コロナウイルス危機の中、株式投資家の間に広がる冷血な理論を見つけるのは造作もないことだ。最新のロジックは失業が増える中で企業業績が受け得る恩恵に重点を置いている。

  経済が本格的な回復局面に達すれば、人員削減が企業業績の迅速な戻りにつながるとの見方は、一段と広く浸透しつつある。もちろん、それは大きな「イフ(仮定)」で、企業の採算性が改善されても失業に伴う需要の崩壊で差し引きゼロにもなりかねない。だが恐らく企業は、ひとたび成長が回復すれば、スリム化したコスト構造を背景により厚い利益を獲得することが可能だろう。

  こうした理屈は職を失った多くの米国人の苦しみに無頓着なように聞こえるかもしれないものの、前回リセッション(景気後退)後は11年にわたる強気相場になるなど、前例がある。人間性の抹殺はすでに昨今の株価上昇で避けられない話であり、ウイルスが経済を低迷させている間でさえ急上昇しているアセットライトでアルゴリズム的に最適化された巨大企業中心に回っているのである。

S&P 500 has rallied in face of soaring unemployement, virus infections

  モルガン・スタンレーの株式ストラテジスト、マイク・ウィルソン氏は最近、再雇用のペースが鈍いことで営業レバレッジが改善し、予想以上に早い業績回復を後押しし得るとの考えを示している。ブルームバーグ・インテリジェンスのストラテジスト、ジーナ・マーティン・アダムス氏は、人員削減は個人消費支出の減少を意味する一方で、迅速な利益回復に役立つと指摘。やや冷淡に聞こえるが、それが現実で、企業は業績の落ち込みから抜け出すためにコストを削減すると語った。

  前回2つの景気循環においては、モルガン・スタンレーが見いだしたように、回復の初期段階では売り上げよりも営業コスト低減の方が大きな原動力となった。

  株式ストラテジストらは自分の職務に従ってこうしたことを指摘しているにすぎないが、彼らの描くシナリオは、貧困層を尻目に富裕層はますます豊かになり、企業は従業員の幸せより株主価値を優先するという、ウォール街の価値体系に関する疑念と一致する。この問題は何十年も前から存在しているが、コロナ感染拡大と黒人男性ジョージ・フロイド氏の暴行死がきっかけとなった人種差別への抗議行動の中で一段と公に語られるようになってきた。

  マーケットフィールド・アセット・マネジメントのマイケル・シャウル最高経営責任者(CEO)は「人間として世界について考えることと、経済的意味合いと市場に対する意味合いについて考えることとは、切り離す必要がある」と指摘し、この2つを融合させたいという人がウォール街で素晴らしい仕事を成し遂げることは恐らくないだろうと語った。

原題:There’s a Bull Case on Stocks Tied to Rising Jobless Ranks (1)(抜粋)

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