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日米中の投資家つなぐVCファンド、中国の新興企業に照準

更新日時
  • DCMは中国に焦点当てたファンドで欧米投資家から約950億円調達
  • 共同設立者チャオ氏は自身の経歴を投資に活かす-米中間の懸け橋に

ソフトバンクグループ楽天が支援するベンチャーキャピタル・ファンド、DCMベンチャーズは、中国に焦点を当てた新たなファンドを立ち上げた。米国の年金基金や欧州企業などから8億8000万ドル(約950億円)を調達し、米中間の緊張が高まる中でも外国人投資家の中国に対する関心が失われていないことを示した。

  DCMの共同設立者デービッド・チャオ氏(53)は、貿易摩擦や香港情勢の緊張で広がる米中間の溝を埋めるには最適な人物と言えるかもしれない。神戸で育ちスタンフォード大学で経営学修士(MBA)を取得した同氏は、かつて相撲部屋にスカウトされた経験があり、中国語と日本語を話し、中国や日本と同じぐらい米国に根を下ろしている。

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デービッド・チャオ氏

  同氏はこれら3カ国について、「世界の3大市場であり、投資と事業開発の両面から見ても正しい市場だ」と指摘。「中国は今後10年も米国を上回るペースで成長するだろう。資本の流れという点では止まらないと思う」と電話インタビューで語った。

  トランプ米大統領が華為技術(ファーウェイ)への締め付けを強め、中国政府による香港国家安全維持法の施行に報復する中、同氏も米投資家の一部が中国に懐疑的になっていることは認める。ただ「中国に不快感を持つ年金基金があるのは明らかだが、それが資金調達に影響を与えるだろうか。結局は丸め誤差という結果に終わるのではないか」と述べた。

  拠点を置くカリフォルニア州メンロパークとアジアを頻繁に行き来する同氏によると、大半の投資家は緊張を受け流し、日本と中国にチャンスを見いだしている。「中国への資金流入に関しては、実際に増加していくと考えている」という。

中国に照準

  スタンフォード大でのMBA取得後、チャオ氏はアップル共同創業者の故スティーブ・ジョブズ氏のコンサルタントとして働き、テクノロジーこそが未来だとの思いを持つようになった。シリコンバレーのベンチャーキャピタリスト、ディクソン・ドール氏が新しいファンドを立ち上げた際、チャオ氏は共同設立者として参画し、資本の40%を日本の投資家から集めた。その後、最大の目標である中国に照準を合わせるようになる。

  天安門事件前に父親と一緒に初めて中国を訪れてから約10年後の1999年、チャオ氏は上海に飛び立った。リッツ・カールトンでの朝食中、同氏は紙ナプキンに条件概要書(タームシート)を書き、人材派遣会社51ジョブの創業者らとの取引をまとめた。DCMにとって初めての中国での投資だった。今や51ジョブは中国最大の人材派遣会社の一角で、米国預託証券(ADR)の時価総額は45億ドル余りに上る。

  51ジョブの共同創業者キャスリーン・チェン氏は「20年前に西と東の両方の文化を理解している人はほとんどいなかったので、デービッドはユニークな視点をもたらしてくれた」と電話で語った。DCMは2006年、51ジョブの株式30%を当初投資額の12倍でリクルートホールディングスに売却した。

  DCMが中国で投資している企業群には、医薬品流通プラットフォームの薬師幇などがある。チャオ氏が次の大きな果実をもたらすと考えているのは、動画ストリーミングアプリの快手だ。同社は企業価値290億ドルの評価を受けているが、まだ株式を公開していない。

原題:VC Fund Backing Firms Worth $206 Billion Eyes China Startups (2)(抜粋)

(6段落目以降を追加して更新します)
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