コンテンツにスキップする

物色続く情報通信株、コロナで強まるIT投資の追い風

  • 東証1部33業種のパフォーマンスで情報・通信は医薬品抜き1位
  • 底堅いソフト関連投資、コロナ前になかった需要生まれる-野村証

東証1部の33業種の中で情報・通信への評価が高まっている。新型コロナウイルス問題を受けた在宅勤務の広がりや工場自動化に通信基盤の強化やソフトウエアへの投資が欠かせないことから、業績期待が高まっている。

  東証1部の業種別では時価総額ウエートの大きい順に電機、情報・通信、輸送用機器、医薬品、化学が全体の約5割を占めるが、7月に入って情報・通信セクターの指数パフォーマンスが医薬品を抜いて1位となっている。

情報・通信が医薬品を抜いて1位

  野村証券の伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジストは、「コロナ以前から情報化投資への追い風があったが、コロナでさらに風が強まった印象。コロナ以前になかった新たな需要が生まれている」ことが情報・通信が業種として選好される理由とみている。ブルームバーグデータによると、8日時点で3月末日までの年初来高値を更新した銘柄は情報・通信で223銘柄中74銘柄と最も多く、2位の小売り(202銘柄中59銘柄)、3位のサービス(222銘柄中26銘柄)に大きく差をつけている。

  情報・通信の構成銘柄では、ソフトバンクグループ、NTT、NTTドコモ、KDDI、通信事業のソフトバンクの5社でウエートの6割を占める。このほかに、Zホールディングスやオービック、日本オラクル、大塚商会、スクウェア・エニックス・ホールディングスなど電子商取引(EC)や、ソフトウエアなどを扱う企業などIT関連の幅広い銘柄が含まれている。

  SBI証券のアナリスト、森行真司氏は、業績回復への楽観と新型コロナによる懸念が綱引きをする中で、懸念のほうが勝っている相場では情報・通信のような業績や財務が安定していてるディフェンシブ性が好まれると説明する。特に大手通信会社は4-6月期に販売代理店が休業していたことから端末の販売は落ちている可能性はあるが、「販売奨励金などのマーケティングコストは抑えられているため、月末に控える4-6月期決算もそこまで悪くない数字が出てくるだろう」とみている。

  1日発表の日銀短観では、大企業を中心にソフトウエア投資が上方修正された。大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、「その部分が設備投資の底堅さだ」とみている。特に、コロナがきっかけで人手不足の問題が顕在化し、情報面でも生産性を上げていく必要性が認識されてきたことから、野村証の伊藤氏もデジタルトランスフォーメーション(業務のデジタル化、DX)やデータの処理、ロボティクスなどへの投資が加速しているとみている。

医薬品失速は好対照

  業種別の物色動向をみると、情報・通信同様これまで上昇基調にあり、東証1部株価指数(TOPIX)との比較でもパフォーマンスの良かった医薬品が失速しているのは好対照だ。

  この二つの業種の最も大きな違いは「不確実性だ」と伊藤氏は話す。医薬品企業が進める新型コロナのワクチン開発や特効薬の開発は、達成できるかどうかわからない中でも期待感で大幅に上昇してきたが、「新型コロナが以前よりは抑制されつつある中で、利益がついてこないと評価できない局面に移った」。一方の情報・通信企業は商品やその性能などが明確に示されており、そういった意味で需要が増加することが容易に想像できるため、業績押し上げ効果への期待が続いているという。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE