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鍵握るのは医師の経験積み重ねと試行錯誤-コロナ治療の決定打ない中

  • 医師のコロナ対応を助ける道具箱を作ることを目指すとWHO
  • 死亡率引き下げ目指し各国からトリアージなどのデータ収集

サンジャ・ジェリック医師にとって今年の4月6日は、ニューヨーク市で救命救急医として約20年間働いてきた中で最悪の日だった。

  この日、コロンビア大学アービング・メディカルセンターの治療室には新型コロナウイルス患者が殺到、肺炎を発症し人工呼吸器の挿管を待つ患者らは呼吸困難で苦しんでいた。ジェリック医師は異例の措置を決断、患者らにうつぶせの姿勢を取るよう促した。

  うつぶせ姿勢は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)で挿管され鎮静状態にある患者の酸素化を改善させることで知られているが、これが覚醒状態で呼吸困難に陥っている新型コロナ患者にも効果があるという保証はなかった。

  同大学の准教授でもあるジェリック医師はインタビューで、「われわれは時間を稼ぐ必要があった」とした上で、「最初の3人の患者の酸素化が劇的に改善したことを覚えている」と語った。

  決定的な治療薬がない中で、ジェリック医師に限らず、多くの医師が新型コロナ患者への対応で試行錯誤に頼らざるを得なかった。しかし、コロナとの闘いが数カ月に及ぶ中で医師らが現場での経験を積み重ねたことにより、コロナ患者への最善の対処法の枠組みが固まり始めている。

  世界保健機関(WHO)の主任科学者、ソミヤ・スワミナサン氏は2日、ジュネーブで記者団に、新型コロナに関する査読・発表前の研究論文は毎日最大1000本公表されているとした上で、「われわれは科学から学んだ知識をできるだけ速やかに患者や地域のために振り向けることを目指している」と語った。

  こうした取り組みは実を結びつつあるようだ。米国の新型コロナ感染症(COVID19)による1日当たりの死者数は4、5月には2000人を超えることも多かったが、6月以降はほぼ毎日1000人を下回り、数百人にとどまっている。

  WHOは死亡率引き下げを目指し各国からデータを収集し、医療制度がどのようにコロナ患者の優先順位を決めるかや、深刻な合併症にかかりやすい患者をどう守るか、集中治療をどのような速度で進めるかなどを見極めようとしている。

  WHOで世界的な感染症への対策を統括するシルビー・ブリアン氏はインタビューで、目指しているのはあらゆる症状の新型コロナ患者に医師がより良い治療を提供できるような道具箱を作ることだと説明した。

United Memorial Medical Center ICU As Texas Becoming New Center Of Pandemic

ヒューストンにあるユナイテッド・メモリアル・メディカル・センターのCovid-19集中治療室で治療する医師や看護師

フォトグラファー:中村豪/ブルームバーグ

原題:
Trials and Tribulations Point to Ways to Save Covid Patients (1)(抜粋)

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